継続性。

・・・もうちょっと,何とかならんでしょうかねェ。


 掲げた目標は悪くないとは思うのですが,そのものズバリ,


 「世界8強進出対策会議」


という組織名称はどうなんでしょう。フツーに技術委員会であるとか,強化委員会ではダメだったのでしょうか。と言いますか,本気でティア1に食い込んでやろうと思うならば,ジュニア・ユースやユース世代,そして大学世代を含めた包括的な強化が必要になるはず。JKに対するバックアップも当然必要なのですが,下を見てくれている薫田さんたちとの連携も強くしていってほしいですね。


 ということで,今回は日本ラグビー協会理事会、カーワンHCの続投を正式決定(SANSPO.COM)という記事をもとに,リーグ戦がはじまった楕円球方面の話など。


 ラグビー日本代表,という存在がヒコーキだとして。


 必死になって機首を上げようとしているのに,緩やかに下降を続けていたような感じだと思うんですね。そこで,機長を外部から招聘したりもしたのだけれど,その機長は操縦すべきヒコーキに集中してくれるひとではなかった。そのために,機首を引き上げることはできなかったわけです。


 そんな状況に「やっと」歯止めをかけることができたのが,JK体制ではないかと。


 JKがジャパンを引き継いだ段階を考えれば,実質的な“ゼロ・スタート”だったわけです。


 彼がヘッドコーチに就任したのは2007年1月。本来ならば,すでに構築されている日本代表としての戦術的基盤にJKのアイディアを積み重ねていく,という形があってしかるべきだったのですが,日本が拠って立つべきストロング・ポイントに対する共通理解はまった進んでいなかった。前任指揮官は「アイディア」を持ち込んだだけで,そのアイディアをどのように具体化するか,そしてジャパンの持っている強みを生かす方法論を落とし込むことがなかった。そのために,本戦までの短い期間でゼロからのチーム・ビルディングを進める必要があったわけです。となれば,チームに強烈な負荷を掛け続け,100%のファイトが必要となる相手とのテスト・マッチを繰り返す必要が出てくるし,その結果として主力選手が負傷,スコッドから離脱する,というリスクを必然的に背負うことになった。


 RWC2007本戦における「結果」は,さすがに時間不足などジャパンが背負ってしまったハンディを正確に反映してしまったとも言えますが,ひとつひとつのゲーム,その局面を考えてみれば,ジャパンの戦いぶりは「らしさ」を持ちはじめたとも評価できるはずです。いままでフォーカスが合わなかった,ジャパンとしての戦い方に共通理解が進み始めた段階,とも言えるでしょうか。かつてNECでプレーした経験を持ち,日本人の特性を理解しているJKだからこそ,日本が志向すべきラグビー・スタイルに対する明確なイメージを持ち,そのイメージを短期間で一定程度具体化できたのではないか,と思うのです。それだけに,まだ「完全に」JKが意図するラグビー・スタイルが浸透しているとは言いがたい段階で,指揮官を交代させるべき「積極的な理由」があるとは思えないのです。むしろ,チームが表現できはじめた現在のラグビー・スタイルをさらに熟成,進化させていく,という意味での「継続性」こそが求められるはずだ,と思うのです。


 もうひとつ。RWC2007では,戦術理解という部分においてスコッドでもバラツキが見られました。また,ポジションによっては負傷によってスコッドを離脱した選手,その選手によってチームが表現できるはずのパフォーマンスに落ち込みが見られもした。戦術的な部分,そして選手のパフォーマンスという部分で,基盤の広がりがまだ不足している,ということが指摘できるはずです。


 そんな部分を埋めていくためには,短期間での戦力チェックではなく,ある程度潜在能力を見据えた形での戦力チェックが必要になるはずですし,そのためにはコーチング・スタッフの方針が短期間でバラつくようなことがあってはならない。もっと言えば,高校世代や大学世代も含めて戦術的な方向性がある程度一致していることが必要であるはず。JKだけでなく,薫田さんなども含めたコーチング・スタッフが明確な方向性をもって,継続的な強化を進められることこそが,求められることでしょう。


 ごく当然の判断を,JRFUは下したに過ぎない。そんな印象を持っています。