NA、それともターボ。

実際に買えるとしたら,930最後期から964あたり。


 993は空冷最後のモデル,なんて形容詞がついてしまうためにちょっと高い。「最新のポルシェが,最良のポルシェ」なんてことを聞くけれど,ホントの新車を経験しない限りは自分の買ったクルマが最新なのだから,中古であっても心配ナシ。


 なんてことを思ってしまうのが,“911”であります。


 個人的なことを言ってしまえば,ポルシェならばクローズド・ボディでなければという意識はかなり薄いのであります。そもそもボディ剛性が気になるほどに追い込めるほど,自分のウデに自信があるわけでもないし,免許がもったいない,と思ってしまうのです。フツーに走っていて快適な速度帯でいいではないか,と。それゆえ,カブリオレだったり限定モデルとしてリリースされた“スピードスター”なんてのもいいな,なんて思うのでありますが(それゆえ,930か964がいいな,と。),「新車」で買えるような財力を持っていたならば,などという想像の中では,お題に掲げたような悩みも悪くないな,なんて思うんですね。


 スペシャリティであるGT2か,それともGT3かということですね。


 まるでフットボールとは関係ないクルマの話など。





 絶対的なパワーを追うか,それとも,扱いやすさを追うか。


 ごく大ざっぱにターボとNAの特性を分けてしまえば,こんな感じになってしまいます。もちろん,現代においてはスロットル特性も電子制御によって緻密にコントロールされますし,吸気系統に関しても「慣性過給」(共鳴の原理を利用した過給,です。)を使っているケースがありますから,NAでもターボ的な部分はあります。とは言いながら,ガス・ペダルの反応に対してリニア,であるのはNAでありましょう。相対的に見れば,トルク・カーブが穏やかでありますから,扱いやすい,と。逆に,ターボであっても“ターボ・チャージャー”そのものを電子制御したりと,ターボが持っている問題点を何とかクリアしようという部分が進んできています。ターボそのものを考えるならば,軸の支点にボール・ベアリングを採用して摩擦抵抗を抑えたり,吸気流路を2分割することで空気の流速を高める(インペラーの回転を低回転域から高められる)方策を取り入れたり。それでも,インターセプト・ポイントを超えたタイミングでの加速感は,NAとはやはり違うものです。インターセプト・ポイントよりも回転を落とさないで走り抜けることのできる,いわゆる「手練れ」なポルシェ・フリークには魅力的なモデルでありましょう。


 それだけに,ポルシェの“スペシャリティ”を本気でほしいと思っているひとにとっては,相当悩ましい話だろうな,と思うのです。


 かく言う私は,10数年後,このクルマが中古として出てきた頃に「清水の舞台から飛び降り」られるかどうかが試される,という感じになるでしょうか。