対エジプト戦(AFC・A/A CC2007)。

ボールがナイキ。キリンさんの看板が妙に地味。


 予備知識をまったく持たずに見はじめたので,「アジアカップ!?」と思ってしまったわけです。
 思えば,当たり前でして。
 今回のゲーム,主催者にはJFAだけではなくてAFCもクレジットされている。と言いますか,AFCがプリンシパルと見ていいでしょう。であれば,スタジアムが“JFA仕様”ではなくAFCスタイルなのも頷けるし,AFCとエキップメント・サプライヤー契約を締結しているナイキがボールやレフェリー用のエキップメントを提供していたのはごく当然なのでした。


 ・・・そんな話ではなくて,AFCによるマッチメイクだったからか,ファイナル・スコアから受け取れる印象以上に意味あるゲームになってくれたような感じもします。


 ちょっとあっさりめに,エジプト戦であります。


 ごくカンタンに言ってしまえば,“ゲーム・マネージメント”よりも,指向するフットボール・スタイルを押し切ることを優先して闘っていたな,という感じが強いですね。
 ゲーム・マネージメントという部分では立ち上がりの時間帯のほうが,比較的強い意識付けがあったような感じもします。まだゲームが落ち着かない時間帯に,エジプトは仕掛けを強めてきていましたが,その仕掛けの受け止め方は比較的しなやかな印象がありました。最終ラインもそれほど低く構えているわけではなく,攻撃の起点としてしっかり機能していた。
 ただ,このしなやかさが2点のリードを構築した後半にも受け継がれるか,と思ったのですが,この点だけはもったいなかった。なかなか微妙なバランス感覚になってしまう話ですし,攻撃的な姿勢を抑えてしまえば,さらに押し込まれる可能性だってあるわけですし。ゲームの意味合いを思えば,ひとつの解かなとは思いますけれど。


 とは言え,相手が“カウンター・アタック”だけを執拗に狙うというスタイルを持たず,しっかりと中盤でボールを交換させながら仕掛けていくという形を持っていたからこそ,自分たちの仕掛けを押し切ることもできたと思いますし,目指す仕掛けの形を熟成させていく,という「インターナショナル・フレンドリー」本来の目的を達することもできたかな,と感じます。


 また,このゲームでは仕掛けの幅が広がってきたような感じがします。


 アジアカップでは,ショートレンジ〜ミドルレンジあたりのパスに仕掛けの形が集中してしまっている印象が強かったのですが,このゲームではロングレンジ・パスを局面転換のアクセントとして巧く使っているような感じがありましたし,ボールを引き出すための動き,という部分でも熟成を感じさせる部分がありました。
 もちろん,もっとシンプルに“フィニッシュ”から減算するように仕掛けを意識するという方向性も相手によっては必要となりますが,インターナショナル・フレンドリーにおいて「結果最優先」のフットボールを展開する必要は必ずしもないように思います。むしろ,縦へのスピードとパス・ワークを両立させることでフィニッシュの段階での優位性を構築する,というコンセプトを徹底する方向性を志向すべきでしょう。その意味で,FWとトレクワトリスタ(と言うか,ギャップをつけた3トップと表現すべきか)の位置関係は,このゲームではかなり好バランスだった,と思いますし,さらに後方からのバックアップもしっかり機能していた。


 クラブ・チームとは違って,なかなか指揮官が志向するコンセプトが浸透するまでには時間がかかります。ただ,いよいよ指揮官のイメージと,実際にピッチでそのイメージを表現する選手たちの戦術的な理解が深まってきたような感じです。


 このベースをどこまで広げられるか。楽しみであります。