6000席か、3000席か。

欧州カップ戦とか,プレミアシップとか。


 時に,アウェイ・サポータはどこにいる?なんて思うときがあるかと。


 さすがに,欧州カップ戦やUEFAカップの決勝戦となると中立地開催になるので,チケットは双方のクラブに均等に分配されるようですから,競技場を2分割したかのような雰囲気にはなります。この姿を基準に考えてしまうと,疑問が残るでしょう。


 しかし,ホーム・アンド・アウェイの枠組みの中で戦われるゲームで競技場が2分割される,という姿は「ごく例外」であります。


 メイン・スタンドやバック・スタンドのアウェイ側に,対戦クラブのレプリカ・ユニフォーム,あるいはスカーフをまとったひとはいないはずです。話はカンタン,チケッティング規則に“アウェイ・サポータであることが確認された場合には,係員によって払い戻しなくして排除される”ということが明記されているケースが圧倒的なのです。


 とは言え,ここまでのことを明記するには理由もあって。


 物理的に観客収容数が,チケットを求めるひとの数よりも少なければ,つまりはシーズンチケット・ホルダーになりたいと希望するひとのウェイティング・リストが長ければ,アウェイ・サポータに用意できるチケットは必要最低限にしかなりようがない,ということなのです。オールド・トラフォードにしても,あれだけの観客収容数を誇っていても,クラブ・メンバーやシーズンチケット・ホルダーの数を考えてみれば,席数が不足している,ということになるはずですし,実際メンバー以外へのチケッティングは事実上不可能,という形になっているはずです。


 アウェイに赴く立場から見てみれば,ごく限られたエリアに押し込められるというのは,あんまりうれしい話ではないけれど「仕方ないこと」とも言えるわけですね。それに,自分たちのホームで,対戦クラブのサポータをスタジアムのアチコチで見かける,なんてのはいいものでもないし。


 ということで,ぼっ発!浦和対城南“チケット戦争”(Sponichi Annex)という記事をもとに。


 この記者さんは,「戦争」なんて物騒な表現をしているけれど。


 ごく当然のことをしているだけのこと,だと思いますね。


 営業的な部分を意識して,アウェイ・サポータを多く迎え入れるという考え方をとるクラブもあるのかも知れないけれど,本来クラブが最も大事にしなければならないのは,自分たちのクラブを支え,追いかけてくれるひとたちであって,極論してしまえば「年に1回来るか来ないか分からない,アウェイ・サポータ」のことを考えたチケッティング戦略を立てることは,クラブを支え,追いかけてくれるひとたちのことを考えていない,ということにもなりかねないわけです。


 お客さま重視,という考え方から見ても,“アウェイ・エンクロージュア“という考え方が,決して間違ったものだとは思わないわけです。今回の決定は,浦和を追い掛け,支えてくれるひとを強く意識した結果,だろうと思うのです(当然,もうひとつのメッセージもあると思いますが)。


 国内リーグ戦にあっても,このような考え方は徐々にではあるけれど,浸透しつつある。アウェイの楽しみ,という部分ではちょっとずつ窮屈さを増していくことも意味するけれど,仕方ないな,と思いますね。