対新潟戦(07−27)。

過密日程の中,「勝ち点3」を奪取できたこと。


 このゲームにおける最も大きな収穫は,この点に尽きるだろうと思っています。


 ということで,アルビレックス新潟戦であります。


 浦和はいつものように,4−4−2を前提としたスターターの発表をしながら,実際には3−5−2をパッケージとする一方,相手は4−4−2パッケージであります。となると,アウトサイドでの主導権掌握が恐らくは相手のゲーム・プランを崩すための大きな要素になるはずですが,ゲーム立ち上がりの時間帯から,チーム全体がちょっとした「重さ」を持っているように感じられました。


 そのために,相手が意識していただろうゲーム・プランにはまってしまう時間帯が(特に,前半45分間においては)多かったように思います。相手は,ボール奪取ポイントをミドル・サードに設定して中盤がボール・ホルダーに対して素速くファースト・ディフェンスに入る,という戦術的なイメージを徹底していたようです。そのために,相手最終ラインは可能な限り高い位置を維持しながら中盤での数的優位構築をサポートする,という形を取っていたように感じます。


 それゆえ,狭いエリアでのボール奪取が繰り返され,コンパクトな,それでいて厳しい勝負が前半は展開されていた,という印象があります。


 また,ピッチ・コンディションがネガティブな方向に影響を与えていました。


 雨のために,中野田のピッチにはいくつかの水たまりができてしまっていて,グラウンダー・パスのコントロールが難しい状況にあったわけです。パス・ワークから攻撃リズムを作り出していく局面にあって,ボールが意図した動きを見せないがために,攻撃が中途半端な形で寸断される,という局面がいささか多かった。また,ピッチがスリッピーだったために,ボール・ホルダーが足元を取られる形でボール・コントロールを失う,という形も見られた。


 それでも,後半に入ると仕掛けの強度は最終ラインからの積極的な攻撃参加によって強まっていく。また,主導権を掌握しきれなかったアウトサイドからの展開,という部分でも攻撃面でペースをつかんでいく。ただ,仕掛けのイメージがセンターに傾いてしまっているために,攻撃が単調なものになってしまう。加えて,相手守備ブロックが前半とは違って比較的低い位置からディフェンスを仕掛けるという方向へとシフトしていたために,アタッキング・サードでのスペースが物理的に狭まってしまい,攻撃面で「窮屈さ」を感じさせるような時間帯が続く。


 その「窮屈さ」を振り払ったのは,センターの強烈なタレントと,そのタレントを最大限に生かすような縦方向への中盤からの飛び出し,そこからのシュート・モーションだったわけです。アウトサイドを活用することで相手守備ブロックを引き出そうにも,なかなか相手はブロックを崩してはこない。逆に,縦方向での揺さぶりをかけることで相手守備ブロックのクラックを突き,左サイドネットを狙い澄ましたかのようなグラウンダーのシュートによって,「勝ち点3」を引き寄せることに成功したわけです。


 ・・・リーグ戦も終盤であります。


 チームは最も厳しい時期を迎えていると言っていいでしょう。第25節(アウェイ)から,水曜日と土曜日(日曜日)にマッチデイを構える体制が継続しているために,チームに掛かっている負荷は相当に高いものと容易に想像できるところです。戦術練習を含めた,1週間を1つのタームとして意識したトレーニング・スケジュールは当然組むことができず,海外への移動も織り込まれているわけですから“コンディショニング”だけで次のマッチデイへと入っていく,という循環になってしまっているようにも感じます。


 ともなれば,フットボールに"クオリティ”を求めると言うよりはもっと現実的に,「どれだけシッカリと勝ち点3を奪取していけるか」という部分が強く求められるようになる,と思います。また,勝利を積み重ねていくことで過密日程を乗り切るためのリズムを作っている,という部分もあるでしょう。もちろん,フィットネスが100%ではないなりのフットボール,という観点からの課題もあるでしょうが,それ以上にリズムを崩さなかったという収穫は大きなものがある,と思うのです。