対全北現代戦(準々決勝第2戦・アウェイ)。

理想的な展開,でしたね。



 ゲーム立ち上がり,本来ならば主導権を掌握すべく激しい鍔迫り合いが展開される時間帯に,相手はどちらかと言えば「フワッと」ゲームに入ってきてしまった。

 逆に,浦和はシッカリと主導権を掌握するために,積極的に仕掛けていく。



 そして,キックオフのホイッスルが吹かれてから3分という時間帯に,“アウェイ・ゴール”を無効化することに成功するわけです。こうなると,実質的に2−2,というようにシビアに見ておかなければならない状況が通常のスコア計算に戻ることになる。

 この段階で,浦和のオプションは増えているわけです。



 当然,相手は中野田で終了直前に獲得できたアドバンテージを失ったわけですから,戦術的な選択肢は急激に絞られるわけです。否応なく,仕掛けていかなければならなくなる。リスク・マネージメントを意識するよりも,早い段階で得点を奪取しなければならない状況へと追い込まれているのですから。

 だが実際には,相手はここで冷静さを失ってしまう。



 シッカリとゲームを立て直すだけの時間が残されているにもかかわらず,“フットボール”を忘れたかのようになってしまう。



 ・・・それでも,浦和は“フットボール”を徹頭徹尾,貫き通したな,と感じますね。そして,相手は非常に早い段階から「浮き足だった」とも言えるわけで,思うツボでもある。となれば,チャンスを冷静に見極めて追加点というトドメを刺せばいい。ピッチ上の選手たちはホントに冷静だったな,と。

 ということで,ちょっとだけ全北現代戦(アウェイ・マッチ)のことなど。



 いつも,それほど丁寧にゲームの流れを追っているわけではありませんが,今回のゲームは「追おう」という気にもならない。それほどまでに,相手はフットボールをしているとは思えなかった。実際には,持っている「個」の差が埋めがたかった,ということになるのかも知れませんが。



 でありますれば,ちょっとだけ思うところを。



 ともすれば,数季前の浦和ならば激しさが完全にラフの領域へと踏み込んでしまった相手に対して,その挑発に乗ったかも知れません。あるいは,ラフなプレーを仕掛けていく相手に対するジャッジに不満を示し,自滅とも言えるようなリズムの崩し方を見せたかも知れない。

 しかし,このゲームでは浦和は完全に普段着を貫いていたし,ジャッジにしても(どのような基準でジャッジをしているのか,という部分でちょっと疑問はあるものの)ある程度のゲーム・コントロールをしてはいた。



 追加点は,相手DFによるOGではあったけれど,すこぶる妥当な結果,だと思いますね。間違っても「幸運」などではない。相手のラフ・プレーに乗らなかったことに対する,当然のリワード,と思います。



 いつもとは違った意味でリアリスティックであり,厳しいゲームでしたが,ノックアウト・ステージの階段をまたひとつ,上がることができた。



 いよいよ,「高み」を現実的な射程へと収められるような位置に付けつつある。

 とは言え,まずは目の前にあるゲームをひとつずつ,ですね。