Overhaul.
たとえば,WRCを戦うレーシング・マシンを思い浮かべてみますに。
ひとつのイベントは最大でも4日程度。しかし,ここでマシンに掛かる負荷は凄まじいものがあります。そのために,本拠地のガレージに戻るとマシンは徹底的にバラバラにされます。ショック・アブソーバーなどの足回りは厳密に時間管理され,エンジンも当然のように組み直される。ケースによってはボディまでもが交換される。
レーシングな世界での「オーバーホール」は,ほぼ新品を組み上げることと同じ意味だったりするわけです。
ならば,ひとができるオーバーホールとは何でしょう。
「休むこと」であり,ゆっくりと身体を休めたのちに再び身体を作り上げていくことになるでしょうし,その期間にパワーアップを果たすこと,になるのではないでしょうか。ということで,阿部に短期休養、スイス戦招集は消滅(nikkansports.com)という記事をもとに。
疲労を蓄積した状態で高負荷(スピード)を引き出すような動きをしてしまえば,想定外のケガに襲われることだってあるわけです。ケガに追い込まれる前に,コンディション管理をシッカリできるようであるならば,それに越したことはないわけです。
今回の阿部選手でありますが,腰痛を訴えたというのは「ギリギリ」の状態だったことの裏返しではないか,と。いままでの姿を見る限り,少々のことでは自ら「休む」とは言わないタイプの選手であることがうかがえます。ならばなおのこと,「強制的」にでも休暇を取らせて,コンディションを回復させていく必要があるな,と思うのです。
そんな状況の選手がちょっとだけコンディションを取り戻したとして,代表チームに再び合流,というのはいささかアイディアとしても無謀に過ぎる。オーストリアまでのヒコーキにしても,腰に対する大きな負担を強いることになるし,さらなる負荷をかけてしまうことで,コンディションが取り戻せるまでにさらなる時間が掛かることにもなりかねない。
代表チームにとって,必要不可欠な戦力なのかも知れないけれど,同時に浦和というクラブにとっても大事な戦力でもあるわけです。
100%フィット,という状態で戦える,ピッチに立てるゲームは数えるほど,だろうとは思います。だからと言って,限りなく0%に近いフィットネスが20〜30%に上がることを見越して再合流とは,期待の裏返しだろうことは理解できても,いささかアロガントに過ぎるだろう,と。今回のクラブ・サイドの対応は,フットボーラーのコンディションを最優先に考えての姿勢だと思いますし,ごく当然のこと,だと思うのです。
本当ならば,啓太選手にも同じようなコンディショニングが必要だと,個人的には思うのであります。