オーストリア遠征メンバー(追加発表分など)。
個のチカラ,というキーワードは確かにある。
アジアカップのことを考えれば,縦方向への鋭さから決定機を作り出すなど,攻撃的な側面でのアイディアを持った選手が必要,という結論を導くことはできそうです。ただ同時に,攻撃的な部分だけを持っている選手は,現任指揮官が求める“代表として必要な条件”を100%充足しているわけではない,ということも今回の追加招集は示しているように感じられます。
・・・要求水準が高いことは間違いないですね。
さて,追加選手が24節終了を待って発表されました。
MF(といいますか,限りなくFWに近いMFとして意識されているのでしょう。)では山瀬功治選手(横浜F・マリノス)が追加され,第1次発表の段階ではノミネートされなかったFWでは,
巻 誠一郎(ジェフユナイテッド千葉)
佐藤 寿人(サンフレッチェ広島)
田中 達也(浦和レッズ)
矢野 貴章(アルビレックス新潟)
の4選手が招集を受けています。
彼らが招集された意図は,どうやら藤中さんが書いているオシム監督が追加招集FW4人に猛烈ゲキ(nikkansports.com)という記事から,部分的であるにせよ透けて見えるような感じです。
まず,「個のチカラ」とは言うものの,攻撃的な部分だけを意識して「個のチカラ」という表現をしているのではなく,基盤として置いているのは守備的な貢献度ということになるかな,と。そもそも,「個のチカラ」という部分は当然,DFやディフェンシブ・ハーフが持っているパフォーマンスにも当てはまることだし,彼らの守備負担を軽減しながらいい形でボールを奪取する,ということになれば,前線から相手ボール・ホルダーに対する積極的なチェイシング(プレッシング)を仕掛け,チームとして設定したボール奪取位置にまで追い込んでいく,あるいはボール奪取までを視野に入れておく必要がある。
この基盤は恐らく,アジアカップまでの段階でも示されていたことですが,この点を再確認しているようなものではないか,と思うわけです。
しかし同時に。高い位置でボール奪取を仕掛け,そこから攻撃へと転じるときに,縦に対する鋭さであったり,シンプルにゴールを狙っていく姿勢を求め,(もちろん,精度という問題はあるにせよ)積極的にチャレンジしていくという形を意識しているように思えます。ある意味では,強引とも思えるような仕掛けを期待している,という感じも受けるわけです。特に寿人選手や達也選手は,ボールを受けてから縦に鋭く突破を図り,レンジに入れば積極的にシュート・モーションへと入る。こういう姿勢を評価しているのかな,と思うわけです。
さて,藤中さんが指摘する秘策,繰り出されずに遠征を終えることができるかどうか。
それはひょっとすれば,ちょっとフットボール・ネイションの選手が見せるような,いい意味での「強引さ」だったり「ワガママさ」をFWが表現できるかどうか,ということと同じ意味だったりするように思うのです。