Formula Nipponのことなど。

なかなか,巧くプロモートできていないような感じはありますね。


 実際にレース・トラックで展開されているバトルだったり,そのバトルを支えているドライヴァの技術,レース戦略などのマネージメント部分を考えれば,ビックリするくらいそのレベルは高いわけです。
 実際問題として,ミハエル・シューマッハーやハインツ=ハラルド・フレンツェン(彼らはメルセデス・ジュニアチームに在籍していた,という部分でも共通項がありますね。),エディ・アーバインは前身である全日本F3000選手権を経験することで,緻密なマシン・セッティング能力であったり,心理面を含めたレース・マネージメントをフォーミュラ1へと結び付けていってもいます。確かミハエルだったか,と思うのですが,全日本がコンペティティブな環境であったこと,やたら速いオヤジがいること(つまりは,星野さんでしょう。)などをコメントしていたような記憶があります。


 それだけに,「独自性」を押し出すというのもひとつの選択肢ではあります。
 また,ドライヴァの技術であったり勝負の側面を強く打ち出すのであれば,ちょっと側面からではありますが,やりようがあるようにも思います。
 その意味で,2009〜2011 JRP中期計画報告会開催についてのリリース(Formula Nipponオフィシャル)は読んでいく必要があるかな,と思います。


 ということで,今回はちょっと屋号に忠実に,モータースポーツの話など。


 ちょっと,そもそも論から入ると。


 全日本フォーミュラ2やF3000選手権が「緻密」なレースになったのは,サーキットが物理的に少なかったことが大きく影響しています。現在にあっても,鈴鹿FISCO,もてぎでのイベントは複数がカレンダーにセットされています。となると,マシン・セッティング能力は選手権を勝ち抜いていく上で必須の要素になってしまうわけです。
 結果として,ハイレベルなバトルが展開されるわけですが,実際にはなかなか表面的には分からない。オープンホイーラーですから,ギリギリの心理戦という側面が強くなるわけです。この点,ヨーロッパやアメリカのレースのように,ガツガツ勝負に行かないと順位を引き上げられないという組み立ては,レース・マネージメントという立ち位置から見れば「荒削り」という評価になってしまうけれど,アウトサイダーの視点から考えれば,エンターテインメント性が高い,ということにもなっていく。


 さて,このことを前提に中長期計画を見てみますに。


 まずは,マシン・スペックの部分で魅力を引き上げていこうという意図が見えます。ごく大ざっぱな言い方をすれば,フォーミュラ1とIRL規定の良いところを上手に足したワンメイクシャシー,という感じがしますし,エンジンやミッションに関しても技術的な要素を巧みに取捨選択しているな,という感じです。


 むしろ,ここ数季における懸案である興行面での将来性,その鍵を握るのはアジア・パシフィック地域での開催がどれだけ広げられるか,にかかっているように思います。ヨーロッパを主戦場とするチャンピオンシップは歴史に裏打ちされた権威を持ち,アメリカを基盤とするシリーズも独自の地位を確立している。ならば,アジア・パシフィック地域が「第3の軸」として位置付けられるようになってもいいのでは?と思うわけです。
 もっと実質的なことを言えば,物理的に開催地が増えることで,レース・トラックで展開されるバトルの質が「ガツガツ勝負に行く」方向へとちょっとだけシフトすることになるように思うのです。


 データ蓄積によってマシン・セッティングを煮詰めていく,限りなく100%に近いところにまで持っていく,というやり方だけではなく,ある程度「戦える」マシン・セッティング,80%程度に詰めたところで勝負に出て行く,というアプローチを使わないと,データ蓄積の浅いサーキットではなかなか勝負にならないところがあり,これは日本人選手の弱さとして指摘されるところでもあります。この部分がちょっとだけ,解消されるのではないか,と。


 もちろん,韓国や中国,マレーシアやオーストラリアなどを積極的に巻き込んでいく必要があるわけですから,カンタンにいくはずもない。中期計画どころか,長期的な展望,というレベルの話でしょうが,個人的にはアジア・パシフィックを代表するフォーミュラを見てみたいな,と思います。