悲劇。

誰よりも悔しいのは,言うまでもなく選手のはずですが。


 チームにとっても悲劇であることは確かだし,誤算を生じる可能性も否定できない。ラグビーフットボールでは特定のタレントにチームが依存する比率は少ないものの,チームのコンビネーションを統率する,という意味では,“Not replaceable”な選手も間違いなく存在する。その選手が,出村さんのコラム(カーワン・ジャパンを襲った悲劇(スポーツナビ))で触れられている,安藤選手と大畑選手であり,彼らはポルトガルとのテスト・マッチで負傷,チーム離脱であります。


 ということで今回は,ちょっと短めに楕円球方面の話など。


 大畑選手に関しては,恐らく無意識のうちにアキレス腱断裂を経験していた右足に負荷をかけないように,庇うような動きをしていたのかも知れませんし,筋力バランスという部分でも微妙なズレを生じていたのかも知れない,と思います。右足に100%の負荷を掛けられないがために,左足に掛かる負荷が高まってしまったのかも知れません。RWCへ照準を合わせてリハビリをしてきたにもかかわらず,グループリーグを目前にした時機に再び離脱を余儀なくされる。本当に,悲劇以外の何物でもないと感じますが,また大畑選手の姿をフィールドで見られること,期待しています。


 大野選手に関しては,右膝靱帯を負傷してしまったことで,やはりチームからの離脱が確定的,とスポーツ・メディアでも扱われていました。


 さて,チームに与える影響ですが,かなり大きいと言わざるをえないでしょうね。


 ひとりひとりのパフォーマンスを最大限に引き出すべく,シッカリとしたコンビネーションを構築していくこと,判断スピードやパス・ワークを速めていくことなど「スピード」や「精度」」が求められるラグビーを志向しているだけに,コンビネーションを統率していく立場の選手がフィールドから離脱せざるをえない,という状況は痛いはずです。大野選手の離脱を埋めるために,ひとつのアイディアとしてFBとしての役割を想定されていたブライス・ロビンス選手をSOへと配置し,FBには有賀選手を配するという形を考えているようです。もうひとつのチームである,大畑選手がBKコントローラーとして機能していたチームに関しては,北川選手を起用する方向性も模索されているようです。


 チームにとって,本戦直前の時期にあってこれ以上ない逆風です。しかし,この逆風を跳ね返していくべく結束を固めてほしい,と思うし,同じチームにとっての誤算であっても「うれしい誤算」を引き出せるように,短い準備期間を活用してもらいたい,と思いますね。