対G大阪戦(07−20A)。

徹底的な守備応対から,逆襲の好機を狙う。


 どこか,フットボール・ネイションでのアウェイ・マッチを思い起こさせるものがあります。


 ただし,ゲーム・プランは「勝ち点1」を確保するためのものではなく,「勝ち点3」を奪取するためのものが組まれている。この意味では,国内リーグ戦でのアウェイ・マッチと言うよりも,ノックアウト・スタイルとリーグ戦のスタイルを合わせ持つ,欧州カップ戦に似たような印象があるかも知れません。


 いつもよりちょっと短めに,G大阪戦であります。


 リーグ戦においては,基本的にすべてのゲームが等しく重要性を持っている(=獲得できる勝ち点3の重みには変わるところはない)のですが,リーグ・テーブルを冷静に眺めたときに,位置関係などから「勝ち点3」以上の重要性を帯びるゲームがあります。


 追撃態勢をさらに強めることができるか,それとも引き離されてしまうか。


 この1点だけを考えても,今節のゲームは「勝ち点3」以上の意味を持つゲームだったと言っていいはずです。


 再び高みを陥れるためには,追撃態勢を強めていくことこそ,必要不可欠な条件でもある。このような部分から考えれば,“カウンター・フットボール”の香りを強く漂わせる方向性へと「原点回帰」したのは,ある意味当然のことのように思えます。


 戦術的な要素から見れば,ボールがワイドに展開できていた,というのが大きいように思います。いまのチーム・パッケージを思えば,縦への鋭さを最大限に引き出す動き方が求められるはずです。1トップを攻撃の起点として,適切な距離感を維持した中盤が積極的に前線へ飛び出す,という形での「速さ」ではなく,オフ・ザ・ボールの段階から速さを意識した仕掛けを繰り出していく。先制点(そして,今節にあっては決勝点)奪取の局面では,ボールが左アウトサイドから,シッカリと斜行していった。いままで,チームとしてのコンディションが上がりきらなかったときにはボールは比較的直線的な動き方を見せていたけれど,この局面ではスムーズにボールが中央へと繰り出せていた。しかも,レシーバが動きながらボールを収めることができていたために,相手守備ブロックを揺さぶることにも成功している。


 いまのチーム・パッケージにあっては,最も理想的な形で得点を奪取できた局面だったように思います。


 ただ,守備応対という部分を考えると,決して安定性を持っていたわけではない。


 特に,前半においては最終ラインにかかる守備負担はかなり重く,GKが「最後の砦」として大きく機能する(本来ならば,あまり好ましくない状況ではありますが。)時間帯が多かったように思います。スピーディなパス・ワークから守備ブロックを揺さぶり,ブロックに生じた隙間を突きにかかる。そんな攻撃をギリギリで抑え込み,前半スコアレスで踏みとどまったことは,チームにとって大きかったように思います。ギリギリの局面でリスクを跳ね返し,攻撃面では現状でのパッケージで考えられる最も理想的な形で数少ない好機を得点へと結び付ける。「相手を圧倒する」という方向性での強さではなかったかも知れませんが,結果的に「相手をねじ伏せる」という方向性での強さを存分に見せ付けることのできたゲームではなかったか,と思います。


 アンチ・スペクタクルなように見えて,実際には相当にスペクタクル。そんなゲームだったような気がします。