Ninja.

カワサキを代表する名前にして,スポーツ・イメージを象徴する名前。


 “Ninja”であります。


 でありますが,最初の頃とは微妙にイメージが違ってきているように思います。GPZ900Rであったり,ZZR1100(ZX−11)の頃には,スポーツ性の高いモデルに付けられる名前,というイメージは持っていましたが,同時にツアラー的な性格を持っているモデルでもあるな,と思っていたわけです。ホンダやスズキが仕立てていた,サーキット直系な設計から距離を置いているように映ったわけです。
 その印象は,モノコック・フレームを採用した意欲的なモデル(すぐにZZR1400がリリースされたことで,意外にも短命に終わってしまいましたが)であるZX−12Rでも変わるところはなかったのですが,ZX−9Rや6R(636モデルも用意されていた頃の話です)を思うと,サーキット・ランであったりワインディングでの楽しさを追求したモデルのための名前にシフトしてきたように思うのです。


 そして,最もスポーツ・イメージが強いのがZX−10Rではないか,と思います。





 このクラス,正直なことを言えばライバルが強烈であります。
 1985年に750ccモデルがリリースされて以来,一貫してサーキット・ランを強く意識し続けてきたモデルであるGSX−R,このカウンター・パートとしての役割も持っているCBR。そして,国産マシンでありながら個性的なハンドリングを押し出してきたYZF−R1。
 そんなマシンと比較してみて,かなり個性的ではないか,と思います。スタイリングにしても,ZZRのようにハッキリと好き嫌いが分かれるフロントフェイスを持っているし,フレーム・デザインにしてもエンジン側面をフレームが抱え込むような通常のツインスパーではなく,エンジンを避けるような形にレイアウトされたツインスパーへと変更されている。ちょっと,モノコックを採用したZX−12Rの流れがあるのかな,と思うところです。
 そして,このマシンは高いポテンシャルを持ってもいる。JSB1000クラスにはカワサキ・ファクトリーである“チームグリーン”から柳川明選手がエントリーしていて,第4戦終了時におけるポイント・ランキングは首位。2位に付ける渡辺篤選手(ヨシムラ・スズキ)とは2ポイント差,山口辰也選手(モリワキ・ホンダ)とは3ポイント差とかなり熾烈なチャンピオン争いを展開しています。


 個性的なスタイリングを持ち,ポテンシャルも高い。


 かつての“Ninja”とはちょっと違うイメージを持っているけれど,個性的であることに関しては変わるところはない。ちょっと,興味あるモデル,であります。