対柏戦(07−19)。

タクティカルな部分で柏の後手を踏んだ。そんな感じがします。


 ということで,柏戦であります。


 タクティカル,と言うからには,当然対戦相手の戦術的要素も関わってくることになります。そこで,ちょっと相手目線で考えてみるに。


 ごく大ざっぱに石崎監督の戦術的な意図を推理してみれば,トップとアウトサイドに対する戦術的な指示を徹底してきたはずです。最終ラインへとボールを追い込んでいくような守備,ではなく,むしろ前線に位置する1トップを徹底してマークする,マンマーク・ディフェンスに近いスタイルをイメージさせたようです。そして,アウトサイドに対しては「数的優位」を構築することを徹底してきた。ただ,数的優位を構築するとは言えボール奪取だけを意識したものではなく,ボールホルダーをタッチラインへと押し出していくような形の仕掛けを見せていたように思います。


 アウトサイドと前線との連携を遮断し,同時に前線でボールを落ち着かせないようにすることで,攻撃を寸断する。そんなゲーム・プランに見事に乗せられてしまった,と思うわけです。


 そこで,浦和目線に戻してみます。


 戦術的な問題点は,「距離感」という要素に集約されるような印象があります。


 まず,相手が徹底してきたゲーム・プランにはまり込むことになったきっかけ,1トップであります。静的な状態ですでに,CB2枚に対してFWが1枚のみ。数的優位を構築されてしまう形になっています。さらに,SBが中盤との連携からアウトサイドを抑え込む,というゲーム・プランまでも可能にさせてしまう。このときに,センター・ハーフが前線に大きく出ていくような形で距離感を修正できるようであるならば,相手守備ブロックが持っている戦術的なイメージを崩すことになるはずですが,実際にはセンター・ハーフの位置関係が相対的に低く,1トップが突出するような形になってしまった。そのためにボールがあまり落ち着かず,攻撃が単発的なものにとどまってしまった。


 また,今節では中盤のバランスも後方に引きずられている時間帯が多かったような印象があります。ボールを引き出す動きが入ってから攻撃を組み立てる,という形が多かったからか,中盤でのトラフィックが不必要に多かったような印象がありますし,アウトサイドが抑え込まれていたことと大きく関わることですが,アウトサイドからセンターへと絞り込んでいくような動きは少なく,逆に相手守備ブロックのプレッシャーを回避しながらセンターからアウトサイドへと開いていくような動きが多かった。このときに,中盤が積極的に前線へと押し上げていく形があれば,攻撃面での選択肢が増えていくはずですが,実際にはペナルティ・エリアへと詰めていくような形がなかなか作り出せなかった。


 ・・・では,どうしようもなく悪かったか,と言えばそんなことはなく。


 詰めるべきタイミングで詰め切れなかったことで,結果としてリズムを手放し,「勝ち点2」を同時に手放すことになってしまったゲームではないか,と感じています。


 「勝ち点2」を失うことになった戦術面での問題点は,間違いなく修正可能な部分でもあるはずです。単純に,中盤でのタレントを分厚くするのではなく,前線とのバランスやアウトサイドとのバランスを考慮しながらチームを組み立てていく。少なくとも,コレクティブな4バックを敷いてくるチームに対して,1トップではチームの機能が奪われかねない,ということは今節に限らず明確なところがある。


 距離感をどれだけ適切なものへと引き戻せるか。チームが持っているはずのリズムを,シッカリと取り戻すために,何が必要か。チームがすべきことはかなり明確,であるように思えます。