「脅威」に見える「好機」。

ひさびさに,モータースポーツ的な表現をしてみれば。


 ちょっと長めのフルコース・コーションだったような感じです。ですが,タイミングとしては絶妙のタイミングであった,と見て良いかも知れません。


 ちょっと見れば,06スペックから大きな変更を受けているようには見えなかったのだけれど,実際には07スペックを熟成させるための時間が必要でもあった。しかも,06スペックまでを担当していたレース・エンジニアではなく,新たなエンジニアがマシンを担当することになった。完成度が高かった06スペックにしても,その特性をつかむまでに結構な時間がかかってしまうことになったし,07スペックを熟成させていくための方向軸が(少なくとも外部から,ではあるものの)見えにくかった,ということもある。


 端的に言ってしまえば,熟成不足。そんな状態でレースを戦いながらも,ジワリジワリとポジションを引き上げ,ラップ・リーダのテールが見える位置にまで追い上げていく。そんなタイミングで,マシン・チェックや各部の調整にあてられる時間ができる。


 こんな感じかな,と思うわけです。


 残念ながら,戦線離脱を余儀なくされた選手もいるわけですが。ここで,チーム全体として表現すべきパフォーマンスまでが大きく落ち込む,などということはないと思っています。スターターとしての起用がなかった選手にしてみれば,大きなチャンスという見方だってあるわけです。さらに言えば,ここでシッカリとしたパフォーマンスを表現してくれれば,チーム戦術に明確な幅が生まれてくるし,チーム内競争が激化することによってチームのダイナミズムが維持される,という効果も出てくるはずです。


 誰がスターターとしてピッチに立とうとも,「浦和」として表現すべきフットボールにはいささかの揺るぎもない。そんなチーム状態にまで引き上げることのできる絶好機と見るべきではないか,と思うのです。


 一部スポーツ・メディアは「暗雲」であるとか,ネガティブな表現を使われたように記憶していますが,ひとりの選手の戦線離脱によって振り払えないほどの暗雲が漂うような,“ディフェンディング・チャンピオン”では困るわけです。


 外部から「脅威」に見えたとしても,実際には「好機」である。


 そんなことを雄弁に語るかのような戦いぶりを,リーグ戦が本格的に再開されるゲームで見たい,と思うのです。