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思うに,15人のスターターと15人のバックアップ,という形にはならないでしょう。


 以前も書いたかと思いますが,短期決戦を駆け抜けるにはあまりに過酷な競技ですから,どうしてもリプレイスできない選手(恐らくは,彼らがチーム戦術を表現する上での中心選手,ということになるでしょうが。)がいるとしても,フレッシュな状態で選手を送り出したい,という意図はあるはずです。


 戦力低下を招くことなく,戦術的な表現度においてほぼイコールな2つのチームを作る。


 代表チームでありながら,チーム構築に関してはクラブ・チームを上回るほどに徹底したトレーニングがされているのかな?と思ったりします。ということで,今回もasahi.com:ラグビーW杯、開幕まで1カ月 カーワン流、お披露目(asahi.com)という記事をもとに,楕円球方面の話など。


 以前からジョン・カーワン(JK)ヘッドコーチは,RWCにあたって「2つのチーム」を組む,ということをハッキリと示していました。ただ,パシフィック・ネーションズカップにおいては”シンプルな”2チーム体制では表現できるパフォーマンスに差が出てしまっているようにも感じました。また,現実的なことを考えても15人のスターターを2つ組んでしまえば,バックアッパーをどうするか,という問題が残ってしまうし,戦術的な部分からどうしても外すことのできない,鍵を握る選手が確実にいるとも思う。


 なんてことを思っていたら,このインタビュー記事で「大枠」になるようなことをJKさんはコメントしていました。ちょっと引用してみますと,

 「私は二つの『イコール』なチームをつくりたい。イコールとは、相手に対する戦術に適した選手を、試合ごとに選ぶという意味。」


とのことであります。


 となると,最低限のユニットである15人のスターターではなく,相手の戦術に応じて入れ替わるスターターが何人かいる,という感じではないか,と思うわけです。たとえば,素速いディフェンスから相手のチャンスを徹底的に潰し,冷静にカウンター・アタックを狙うというゲーム・プランを最も表現しやすいユニットを組むと同時に,クイックネスを攻撃的な部分へと傾け,互角の勝負へと持ち込むような戦術的イメージを作るためのユニットを組む。その中で,選手の変更があり得る,というような感じではないかな,と。当然,激しいフィジカル・コンタクトは避けられませんから,ジェームス・アレジ選手に降りかかったようなアクシデントも想定しておかなければなりません。バックアッパーだからといって,チームとして表現すべきパフォーマンスが低下してしまうようでは問題がある,ことになります。


 であれば,ひとりの選手に多くを依存した攻撃を構築するわけにもいかない。徹底してコレクティブな形を意識しなければ,個を相手に対しての武器として使い切れないことにもなる。その意味で,アジア・バーバリアンズとの壮行試合前にした合宿では相当徹底したチーム構築がされているはずだ,と思います。


 あと1ヶ月。カウントダウン・タイマーがかかったような感じでしょうが,「形」が見えてくれば,チームとしてのパフォーマンスも上昇してくると思います。となると,戦術面でのさらなる熟成と,あとはコンディショニング,でしょうね。目標に掲げているQF進出(過去最高の成績)が現実となるかどうか。JKさんにとっても相当チャレンジングな目標でしょうが,ぜひとも達成してほしい,と期待しています。