対広島戦(07−14)。

中断期間明け,というのは案外に難しいような感じがします。


 もちろん,連戦によるフィジカル,メンタル両面での疲労から回復させるということが最重要事項になっているシーズンですから,チームにとって貴重な時間であることは間違いないところです。ですが,中断前のことを考えると(リーグ戦限定で,と言わねばならないのがシャクではありますが。),いい流れをつかんでいたタイミングで中断に入らざるを得なかった,という見方も成り立ちます。


 フィジカルやメンタルではリフレッシュしているはずなのだけれど,リーグ戦を戦っていくためのリズム,という部分では再びリズムを作り出していかなければならない。前半は,リズムを取り戻すための時間であったように感じられます。


 いつものように1日遅れであります。A3によって未消化になっていた14節であります。


 布陣もいつものように,リリースされたシステムとは違う3−5−2であります。


 でありますが,前半は中断前に構築していたはずのリズムを取り戻すのに時間がかかってしまったな,という印象があります。最終ラインと前線との距離が開いてしまったことで,ポゼッションが「脅威」を伴った攻撃へとなかなかつながらず,ひとりひとりの選手が持っている「個のチカラ」が単独で機能しているような印象がありました。逆にボールを失ってしまうと中盤でのファースト・ディフェンスが緩くなってしまうために守備ラインへの負担が大きくなる,というように攻撃,守備両面において典型的な「悪循環」にはまり込み,主導権をなかなか掌握できなかったような印象です。


 しかも後半立ち上がりの時間帯で,先制点を奪われてしまいます。


 この状態で止まってしまえば,中断期間がまったく意味を持たなかったことになるわけですが,フットボールという競技は「化学反応」があるから分からない。高いレベルを持ったチームに引っ張られるようにしてパフォーマンスが高まっていったり,本来持っているポテンシャルが引き出される,という形の化学反応もありますが(と言いますか,こちらが本来の姿だと思いますが。),このゲームにあっては,失点という刺激が本来のリズムを思い出させるきっかけとして作用したように思うのです。


 全体がコンパクトさを取り戻し,流動性を高めることで縦への圧力を強める。同点へと追い付いた局面では,積極的なポジション・チェンジが決定機を作り出す大きなきっかけになっています。また,前線〜中盤の距離的なバランスやコンビネーションの部分が修正されると,攻撃面での安定性が高まっていく。PKによってリードを奪ったあと,3点目を奪取した局面では,中盤と前線とのコンビネーションと,ひとりひとりが持っている「個のチカラ」のバランスが修正されて,チームとしてのパフォーマンスへと結び付いた,という感じがしました。


 ・・・結果的には,4−1。快勝と表現してもいいスコアです。


 しかし,スロー・スターターであったことも確かです。


 浦和のスタイルを思えば,前半の早い時間帯から,後半のようなコンパクトさを表現できていなければ厳しいゲームになってしまうことも考えておくべきだろう,と思います。ハーフタイムで修正を掛ける,のではなく,ピッチで調整できること。難敵相手には,恐らくそんな部分も求められてくると思います。


 とは言え,「勝ち点3」を奪取できるかどうか,によって追撃態勢が確固たるものになるかどうかが決まる部分がありましたから,硬さを呼び込む(スロー・スタートにつながる)条件があった,とも言えそうです。失点はありましたが,そんな硬さを跳ね返して本来表現すべきスタイルを押し出し,シッカリと反発力を示すことができたのは,本格的な再開に向けていいきっかけになる。そう思うのであります。