転換点。あるいは二次曲線。

ちょっと,数学の時間を思い出してみます。


 二次曲線。円錐を切断したときに描き出される曲線で,双曲線なんて言い方もあります。


 さて,この曲線をグラフに当てはめてみる。x軸,y軸ともにゼロに近いときの接線の勾配はすごく緩かったりします。その勾配がある点を境にして,急激に大きくなっていく。


 そこまでの距離が長いか,それとも短いかという差は確かにあるけれど,ひとつ言えるのは,双曲線であるならば必ず勾配が立ち上がっていくポイントというのはある,ということ。


 そんなことを,オーストラリア戦後にアップされた,宇都宮徹壱さんのコラム(「ターニングポイント」−日々是亜洲杯2007(スポーツナビ))を読みつつ,ふと思ったわけです。


 宇都宮さんは,カイザースラウテルンでのゲームを含めて,ターニング・ポイント(転換点)という表現をされたように思います。確かに,そんな部分もあるのかも知れません。このゲームを落とすようなことがあれば,NHKのコメンタリーを担当していた山本さんや野地アナが言っていたように,「苦手意識」を持つような状況となった,かも知れませんし。


 ですが,「転換点」という言葉は,もっと実戦に接近した言葉では?とも感じるわけです。


 いわゆる「カップ戦」ですと,必ずどこかの段階で「厳しいゲーム」が訪れます。自分たちの持っている強みがなかなか表現できない。あるいは,表現できたとしてもその強みがフィニッシュへと直結してくれない。むしろ,相手の持っている強みを巧みに抑え込みながら,ちょっとした隙を的確に突き,強みを一気に押し出すような戦いを強いられるゲームが,どこかに訪れる。


 このゲームをモノにできれば,さらなる加速態勢を築き上げることができる。


 オーストラリア戦,確かにフィニッシュという部分では明確な課題を提示されはしたけれど,ビルドアップという要素ではある程度の確信を持ったはずです。2006年のワールドカップ本戦以降,文字通りのゼロ・スタートから一時曲線的に順調な成長をチームが遂げられる,などと考えるのはどこかに大きな誤解があるように思います。むしろ,微細な変化を積み重ねているはずです。その微細な変化の過程にあって,実戦という高い負荷が掛かることによって,チームがさらに進化をしていける。そのためには,勝ち上がっていかなければならないし,その確信が深まってきているのではないか。


 もっと単純に,アジアカップ,というトーナメントを勝ち抜くための転換点,という感じが個人的にはするのです。