Shootout.

物理的な数的優位を,スコアへと直結させることはできなかったけれど。


 数的優位を生かせなかった,という部分がネガティブに働くことはなかった。


 ゲームの帰趨がペナルティ・シュートアウトにまでもつれ込んでしまうと,それまでのリズムがゼロ・スタートに引き戻されてしまったり,ケースによってはゲームの主導権を掌握していたがゆえに心理的なビハインドを背負ってしまうことすらあります。NHKでコメンタリーを担当していた野地アナ,山本さんが指摘していたことは,確かにあります。


 ですが,このゲームではこの指摘は杞憂に終わってくれた。
 PK戦でも,流れをつかんでいたと感じます。


 主導権を掌握し,他方で相手に強烈なプレッシャーを掛けるためにも,ファースト・キッカーの役割は大きいはずです。オーストラリアのファースト・キッカーはマーク・ビドゥカに代わってゲームに入ってきたハリー・キューウェル。川口選手が彼を抑え込むことに成功すると,俊輔選手がファースト・キッカーとしての役割を果たしていく。


 ペナルティ・シュートアウト,PK戦には確かに「運」という部分が不可避ではあるけれど。
 公式記録には,1−1のドローという結果が記されるはずでもあるけれど。


 厳しい試合を経て,決勝トーナメントを本格的に駆け上がっていく態勢が整っていく,と考えるならば,ノックアウト・ステージ初戦でこのように厳しい試合を経験できたのは大きな意味があるかも知れません。