対G大阪戦(07−QF#2)。

カップ戦の戦い方を,忘れてしまったわけでもないでしょうけれど。


 結果として「リアル」さを欠いたな,と感じます。


 アウェイ・ゴール制が導入されたからと言って,カップ戦の戦い方が大きく変わるわけではありません。
 リーグ戦とは大きく異なり,カップ戦は「結果」がすべてを決める前提です。得失点差があるわけではない。引き分けて「勝ち点1」を確保する,あるいは相手から勝ち点2を奪い取る,という戦い方は必要ありません。極論してしまえば,ワンチャンスで相手を沈めることだけを意識していたとしても,何の問題もないわけです。1−0だろうと大量得点だろうと,「先に駒を進められる」という意味においては同じなのですから。


 であるならば,2007シーズン,チームが指向するスタイルはスタイルとして,カップ戦においては2006シーズンのようにリアリスティックな姿勢を徹底しなければならない部分は大きい,と思うのです。


 また,さらに現実主義的なことを言うならば,ゲームを巧みに壊しながらさらなるチャンスをうかがう,という姿勢も必要となるはずです。


 実際にこのゲームでは,ゲームを壊すべきタイミングもあった。1−1の段階です。ですが,実際には相手のゲーム・プランに乗ってしまったように感じます。
 この試合,相手は冷静に自分たちのスタイルを微調整してきていた。コンディションでの問題もあるのでしょうが,積極的に仕掛けるという姿勢を抑え,むしろ仕掛け「させて」いたように感じます。“アウェイ・ゴールを奪われたことで,浦和は仕掛けてくるに違いない。その仕掛けを寸断し,前掛かりになったところを狙え”,とでも徹底したのでしょう。
 本来,このようなスタイルを押し出すべきは,浦和だったはずです。彼らの持っている攻撃力を,そのまま自分たちの攻撃力へと転換させていくというように。しかも,アウェイ・ゴールの効力を,一時的にせよ無効化できたのだから,この段階で戦術的な徹底が図られるべきだったのだけれど,ピッチの外にも,ピッチの中にも戦術的なイメージを修正できるタレントがいなかった。


 このゲームを,「個の力」が持っている差と片付けてしまうことも,できるかも知れません。


 ですが,「個の力」がまとまりを欠いた状態ならば,いかに個の力が強くともチームとしての強さへと結び付くことはない。相手は,自分たちのスタイルとは違う,“リトリート”というゲーム・プランを徹底し,持っている力を効率的に引き出す方法論を選んだ。そんな相手に対して,どのようにしてその現実を打ち破るか。あるいは相手を上回る現実的な対応を徹底するか。


 ピッチに立つまでのゲーム・プランでも後手に回った部分があるように思いますし,ピッチに立ってからのゲーム・プランの修正,という部分でも後手を踏んだような印象が強く残るゲームです。