対チェコ戦(U−20WC・Rof16)。

もったいない!と正直,思いますね。


 このチームがどこまで進化を遂げていくか,その過程をできるだけ長くこの大会を通じて見てみたい,と思わせるチームに仕上がってきていた,という事実もあるだけに,本当にもったいない負けだな,と思います。


 フットボール・スタイルという部分では,間違いなく彼らは高い表現能力を備えていたし,「日本代表」という存在からはあまり感じられずにいた,「熱さ」のようなものを強く感じることもできた。ならば,結果だけが厳しく求められるセカンド・ラウンド,その初戦にあっては「ゲーム・マネージメント」という部分も見たかったな,と感じるところがあります。


 チェコ戦(U−20ワールドカップ・セカンド・ラウンド初戦)であります。


 ゲーム・マネージメントというと,チームのバランスを守備面に傾けるという意識にどうしてもなりますが,むしろこのチームにあっては,仕掛ける姿勢を徹底することで結果的に守備応対を安定させる,というアプローチの方がよかったような感じです。


 立ち上がりから,積極的にボールを大きく展開させていくことでゲームのリズムを掌握にかかり,先制点奪取に成功する。そして,後半立ち上がりの時間帯で,PKから追加点を奪い,2点のリードを築く。


 ここからの戦い方,であります。


 チェコは中盤でのパス・ワークからリズムを作り,加速態勢を整えてから仕掛けるというスタイルではなく,シンプルにカウンター・アタックを狙う,というゲーム・プランを持っていたようです。そのゲーム・プランに結果として嵌ってしまった,という感じがします。2点のリードを築くまでは,攻撃的な姿勢を強めることで結果としてカウンターを封じることに成功していた,と見えるのですが,2−0という状況でチームのイメージが微妙にズレを生じたかな,と。
 さらに追加点を,と意識すれば仕掛けのスタイルに変化を与えるわけにはいかない。一方で,「勝利」という部分に重点を置き,守備面での安定性を意識するようになると最終ラインがなかなか積極的に押し上げていくことができなくなる。
 この状況で,チェコのカウンター・アタックが繰り出されてしまうと,ボールが奪われたポイントからのディフェンスが機能しなければ,さらに最終ラインが自陣方向へと押し込まれることになってしまう。前線から中盤のプレッシャーによって,ボール(やボール・ホルダー)を追い込めているわけではないから,最終ラインでの守備応対には余裕を持たせられなくなる。


 というような,イヤな循環に入ってしまったような感触があるわけです。


 このときに,ベンチ・ワークやピッチ上の選手によるコーチングを含めて,どのようにギアチェンジをするのか,それともいままで通りの仕掛けを押し切るのか,という部分での戦術的なメッセージを確認できていると,また違った話になったかな,と思ってしまうところもあるのです。


 どうしても,共通する課題になりますが。


 結果が求められるゲームでリードを築いたときに,(ポジティブな意味で)どのようにゲームを壊していくか,という部分も意識しておいていいと思うのです。単純に,守備を固めるという意識に傾いてしまえば,恐らく相手のカウンター・アタックを真正面から受け止めざるを得なくなり,主導権を決定的に手放してしまうことになる。どこまでスタイルを微調整して,どこまでいままで通りのスタイルを押し切るか。微妙なハンドリングが必要になることですが,「結果」を手に入れるためには意識しておかなければならないこと,のように思えます。


 とは言いましたが。彼らは実戦の舞台で,「戦術眼」を高める貴重な機会をつかんだのだ,とも思います。もちろん,結果は残念なものですし,悔しい限りではありますが,彼らが上位カテゴリーの日本代表に選ばれたときに,このビクトリアでの経験は間違いなく意味を持ってくるはずです。セカンド・ラウンド初戦で姿を消しはしましたが,その後につながるゲームだったと思うし,シッカリとこのゲームから得られたものを消化してほしい,と思います。