U−20ワールドカップ(ファースト・ラウンド・その1)。

ひさびさに,屋号な言い方ではじめますと。


 “ホール・ショット”なんて言い方があります。


 誰よりも先に第1ターンへと飛び込むことを,ホール・ショットと表現するわけです。となれば当然,「どれだけ鋭く加速できるか」がホール・ショットを奪えるかどうかを分ける要素になるわけです。


 U−20ワールドカップに参戦している日本代表は,これ以上ない加速態勢を作り上げたな,と感じます。ということで,ちょっと短めに。


 ファースト・ラウンドは“ラウンドロビン”(1回戦総当たり制のリーグ戦)を採用しています。
 ですが,実際には「短期決戦」という要素が圧倒的に強く,ノックダウン・スタイルのカップ戦のような戦い方が求められるように思います。であれば,第1戦は最も大きな意味を持っていた,と言っていいでしょう。グループリーグ第1戦,スコットランドを相手に,日本代表は攻撃面を基盤にしっかりとしたゲーム・コントロールをすることに成功したな,と感じます。先制点を奪取してからも,その先制点を守る,という意識を強めるのではなく,主導権を掌握したままに追加点を奪いに行く,という姿勢を押し出し,その姿勢の通りに追加点を奪取してみせた。


 そして,対コスタリカ戦(第2戦)であります。グルーグリーグ初戦のように,主導権を掌握した中で戦うことのできたゲームではなく,むしろ相手にリズムを掌握された時間帯が多かったゲーム,と言うべきだろう,と感じます。ただ,リズムをつかまれながらも反撃のチャンスを冷静にうかがい,数少なかったチャンスをフィニッシュへと結び付けることに成功した。


 第1戦では攻撃面でリズムを作り出し,第2戦では守備面によって相手に掌握されたリズムを巧みに引き戻していく。方向性は違うけれど,チームが持っている“フットボール・スタイル”を押し出す,という意識はどんな状況にあっても徹底されているような印象がありますし,その姿勢がチームにポジティブな循環をもたらしているような感じがします。


 ・・・共同さん配信の記事(スポーツナビ)を読みますと,チームに感じるポジティブな循環,その基盤にあるものが指摘されているように感じます。


 この記者さんは,実力を発揮できている要因として,「各選手が自分の意見を表現する力を持ち合わせていること」を指摘しています。


 選手に対してのみならず,対監督の関係でしっかりと自分の意見を相手にぶつけ,イメージをシッカリと共有することができている。クラブ・チームとは違って拘束時間が短く,それゆえにチームを熟成させる時間が不足しがちな代表チームにあって,短期間に戦術的なイメージを束ね上げるには,ひとりひとりのイメージを徹底的にぶつけ合う必要がある。この大きな前提条件を,シッカリと持ち合わせている。


 トーナメントを通じて,どこまでチームが熟成され,明確な戦術的イメージをピッチに表現してくれるのか。本当に,楽しみであります。