対マレーシア戦(U−22アジア2次予選)。

明治大学とは,鋭いところに目を付けたな,と。


 ア式蹴球部さんに関しては,残念ながら実際に見たことがないのでナンとも,なのですが,明治大学は比較的,組織だった戦いを挑んでくるチームのような感じがしています。誰かが目立つ,というチームではないような感じがしていたのですが,逆に言えば明治でシッカリと機能している選手,というのは戦術理解度が高い,ということも意味するような気がしますから,フィットしやすいのではないか,なんて思うです。


 さて,いつもの五輪代表よりも,ワクワク感が強いんですよね。
 ということで,ゲームそのもの,と言うよりは,脇道的なエントリなどを。


 本来,反町監督が意図しているフットボールは,ひょっとすると国立霞ヶ丘でのマレーシア戦で,はじめて表現できたのでは?なんてちょっと思っておりまして。
 それまでのユニットは,確かにひとりひとりの潜在能力なり,実際にピッチで表現できている能力は高いのかも知れません。それだけに,局面打開に対する意識がシッカリとかみ合わないと,“テクニック”だけで相手を崩しにかかろうとするところがある。ユニット,という言葉を使ってはいるのだけれど,実際にユニットとして機能している時間帯が案外,少ないような感じがするんですね。


 また,強烈な自己主張を感じることができなかったりもする。
 正当な,「使い,使われる」という関係がなかなか構築し切れていないような感じもあるわけですね。巧い選手は多いのだけれど,その巧さをチームとしての主戦兵器にまでは結び付けられてはいない,という感じでしょうか。


 対して、マレーシア戦のスターターでありますが。


   GK : 山本 海人(清水)

   DF : 一柳 夢吾(東京V)

      田中 裕介(横浜FM

      細貝  萌(浦和)

      長友 佑都(明治大学

   MF : 鈴木 修人(早稲田大学

      小椋 祥平(水戸)

      上田 康太(磐田)

      枝村 匠馬(清水)

   FW : 萬代 宏樹(仙台)

      岡崎 慎司(清水)


 ・・・まあ,主力の扱いを受けてきた選手はことごとく休暇をいただいた形で,誰が見ても基盤となるユニットを広げるための「テスト」を実戦を通じて行う,という意図が明白であります。


 最初にちょっとした不満を言うならば。


 確かに荒削りだし,ポテンシャル面でもともすれば,主力クラスからは落ちる面があるのかも知れません。ゲーム・マネージメントいう部分でも,もっと熟成をしていくべき部分はあるし,それはひとりひとりの戦術眼にかかわる部分も少なからずある。
 基本的に,ゲームのリズムを掌握していながら,自分たちがボール・コントロールを誤ってしまうことで,攻撃の起点を提供してしまう。また,ボール・コントロールを失うタイミングが,チームが比較的攻撃的に,前掛かりになっているために(ゴールという形には結びつかなかったとは言え)危険な局面を自ら引き寄せてしまった部分はある。この点は,ユニットを広げるにしても,修正を要する部分でしょう。


 ですが,もっと根本的な部分で,大きく評価すべきゲームではないか,とも感じます。


 このゲームにかける思い,という“ハート”の部分では,ひょっとすればいままでの予選のゲームよりもハッキリ伝わるものがあった,という感じがします。当落線上,という部分があってのことかも知れませんが,フットボール・ネイションズのクラブ,あるいはチームのように「使い,使われる」という関係がハッキリしているし,それだけではなくて「自分から局面を打開する」という,いい意味でのエゴイスティックな部分もバランスしている。チームとして,いいバランスを保っているような印象を受けたわけです。


 主力に対する刺激,という面で最も大きい要素は,チームとしてあるべき姿,ハートを持って全力で戦うという姿勢そのものではないか,なんて思うわけです。
 コーチング・スタッフが,意図して作り出したものかどうか,ハッキリとわかるわけではないけれど,主力からは感じられなかったものが,いわゆる「当落線上」の選手からは濃厚に感じられた,という部分をどれだけつかんでいるか。


 最終予選であったり,その先にあるものを見据えたときに,本当に大事なものは「論理」によって組み上げられたものではなく,その論理を動かすひとのハート,だったりするように思います。そのことをどれだけ意識してチームが組めるか。そのことが今度は,コーチング・スタッフに求められるのではないか,と思います。