三菱重工相模原に期待したいこと。
最近では珍しいくらいに,質実剛健なチーム名であります。
「実業団」であることを主張するかのような,この質実剛健な名称に「昇格組」を感じる部分もあります。と言いますのも。もともと,「三洋電機」とか,「東芝府中」などとだけ表記されていたチーム名が,“ワイルドナイツ”であるとか“ブレイブルーパス”という愛称込みになったのが,トップリーグ立ち上げのタイミングだからです。
このとき,三菱重工相模原はトップ・イーストを主戦場としていました。
そこから5シーズン目を迎える今季,トップ・チャレンジシリーズを2位で通過した三菱重工相模原はトップリーグへと参入していくわけです。この相模原,ちょっと意外な部分を持っていたりします。
ジャージのカラーであります。
三菱重工(自工)サッカー部を前身に持つ浦和のホーム・キットは言うまでもなく赤ですし,現在JFLを主戦場としている三菱自動車水島FCのホーム・キットも赤を基調としたデザインを採用しています。
しかし,三菱重工相模原のホーム・ジャージは緑を基調としていますし,エンブレムは本拠地である相模原市,その市花である紫陽花をあしらったものとなっています。エンブレムに関するページ(三菱重工相模原ラグビー部)を見ますと,「相模原市民に愛されるチーム」というフレーズが目に入ってきます。名前は実業団であることをハッキリと主張している一方で,チームのエンブレムやジャージは,「地元に愛される存在であること」を強く意識した仕立てになっている。ある意味で,Jリーグのクラブのような姿にも感じますし,地元を強く意識した姿勢はすごく評価できるものに感じられます。
ならば,と期待したいことがあるのです。
積極的に,相模原市内であったり,お隣の座間市あたりの中学生,高校生を対象にしたラグビー・クリニックを展開してほしいな,と思うのです。トップレベルのスキルであったり,フィジカルを持った選手たち,あるいはチームを指導しているコーチ陣から直接指導を受けられることが,中学生や高校生の持っているスキルを引き出すきっかけになってくれるはずだと感じますし,将来的にはラグビー部を意識し,追い掛けてくれるひとを増やすことになるのではないか,と思うからです。
あとは,本拠地(トレーニング・グラウンド)からできるだけ近いところでホーム・ゲームを開催してくれれば言うことなし,ですね。相模原市のホームページを見ると,現在麻溝公園競技場がバックスタンド整備を計画していて,完成すれば15,000人を収容することが可能になるのだとか。最大限好意的な解釈をするならば,相模原市サイドが三菱重工相模原ラグビー部をバックアップしてくれている,とも言えましょうか。ともかく,ホーム・グラウンドと呼べる存在が近い将来整備されるというのは,楽しみな話であります。
基本的に,企業ベースのクラブであっても,地域に大きく働きかけることは十分に可能だし,「実質的に」Jリーグのクラブと同じような位置付けになれるはずだ,と思っています。
ラグビーにはラグビーなりのスタンスがあるのかも知れません。ならば,社業を圧迫しない限度において,地域の子どもたちに対するラグビー・クリニックであったり,ラグビー・スクールを展開するのは,局地的なCSRという見方だって成立するし,実際に指導する選手たちやコーチング・スタッフは形をちょっと変えた広報スタッフ,という見方だってあるわけです。最終的に,PSVアイントホーフェンのような姿になってくれるならば,いっそのこと愛称なしの「三菱重工相模原ラグビー部」のままで押し切ってくれても良いな,なんてことも思っています。
ラグビーにはラグビーなりの地域密着ができるはず。そんな姿を見せるクラブが,ワイルドナイツ以外にも出てきてくれると面白いのに,と思うのです。