連動性。

どこか,2006シーズンのイメージから抜けきれない感じがします。


 シンプルにフィニッシュへと持ち込む。この要素が揺らぐようでは困るのですが,実際には“シンプル”になりきれていない感じがします。


 どうしても,縦に鋭いカウンター・アタックを仕掛けると言うよりは,パス・ワークによって崩しにかかるという形が多いのですが,パスの形が足元に集中してしまって,スペースを狙ったパスが少ない。相手を崩すためのパス,と言うよりは,相手に攻撃の起点を提供してしまいかねないパスがちょっと多いような感じがします。


 2006シーズンはアウトサイドから正確なクロスを繰り出すフットボーラーがいましたが,今季はそういう形とは違った,「新たなアウトサイドからの攻撃スタイル」を見つけ出さないといけないはずです。ですが,まだ明確にアウトサイドを使いこなせていないような感じがします。相馬選手を外し,長谷部選手を投入することでアウトサイドのバランスが明確に右サイドに片寄ってしまう。左サイドにスペースがあったとしても,そのスペースを組織的に突く,という形にまでは戦術交代が機能していない。ともすれば,センターからの崩しを徹底する,という戦術的なメッセージを送ってしまうことにもなりかねないし,局面によってはチーム全体のバランスが自陣方向へと傾いてしまい,相手に主導権を握られてしまうことにもなりかねない。


 アウトサイドでの主導権をどのように掌握するのか,この点において約束事がハッキリしていないように感じます。


 また,仕掛けるにしても,ひとりひとりのパフォーマンスによって何とか攻撃を成立させている,という形が現状に見えてしまいます。スペースを狙ったパスが繰り出せない,というのはひとつには,パス・レシーバが“ボールを呼び込める”という確信を持ちきれない,という部分もあるのではないか,と感じます。「使い,使われる」という関係がもっと明確に見えてくることが必要でしょうし,チーム全体がもっとほかの選手を使い,逆に使われるような動き方を繰り返すことで,ちょっと息苦しいような状況を打開できるのではないか,と感じます。


 A3を挟みますが,6月から7月にかけて,ちょっと中断期間が入ります。


 A3を含めて,チームを再び煮詰めていく必要がある。連動性あふれるチームを作ることは十分に可能なはずだし,「負けていない」ことだけを見てもポテンシャルが決して低くないことはうかがえる。問題は,そのポテンシャルをスムーズに,コンスタントに引き出すための約束事。そんな部分が整理できると,中断期間にも意味があるような気がします。