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安定性を選択すれば,オリジナルに戻るべきなのかも知れません。


 恐らく,アウトサイドと,守備バランスを考えてパッケージを組み替えていく,という発想に行き着くように感じます。


 相馬選手が復帰してからのパッケージは,3バック・システムと2シャドー(と言いますか,ウィンガーと言いますか。)を基盤としたようなものに映ります。相馬選手の「縦」への鋭さは大きな武器になります。彼の最大のストロング・ポイントは間違いなく攻撃面にあり,その攻撃面を最大限に引き出していくには,守備面でのバックアップをどう中盤とのコンビネーションの中から作り上げていくか,という部分が意識される。また,守備面では2006シーズンでの安定性を意識して,3バックを採用する。結果,ディフェンシブ・ハーフの位置に阿部選手が入り,左サイドでのバックアップを受け持たせる。啓太選手はアンカーとしてチームの守備バランスをとる,という感じになりますから,ディフェンシブ・ハーフのポジションには2人の選手が入っていますが,ちょっとバランスを左方向に寄せたシングル・アンカーという感じでしょうか。


 2007シーズンのパッケージとして,4バック・システムを強く意識しているのではないか,という考え方をしているのですが,シーズンを戦いながらの熟成を図るというのは,チームに不要な混乱を招くことにもなりかねない。実際,スイーパーを置いていないはずなのですが,SBが相手ボール・ホルダーを中央へと絞り込んでいくような動き方をしてしまうために,アウトサイドのスペースを本来消せるはずのSBが,実質的に機能を失ってしまう局面もありました。また,守備面でリズムをつかみきれないためか,攻撃面でもリズムがスムーズに刻まれているな,という印象が時間帯限定なものとなり,90分プラスを通じて安定したパフォーマンス,という形にはなかなかならなかったようにも思える。


 それだけに,4よりも3の方がスムーズだ,というのは確かにありました。


 いまでも,浦和と4の親和性は思うほどには低くないはずだと思っていますが,「いま」を考えると,そればかりを言ってもいられないのも確かです。


 奪取した勝ち点が“point”として表記される状況が続き,目指している方向が間違ってないとしても「勝ちきれない」という意識がチームにネガティブな影響を与えるようではシーズン中盤から終盤に掛けての加速に問題を与える可能性もある。確かに,リアリスティックな戦い方にはなるのだけれど,“POINTS”と表記できる勝ち点を奪取するためには,積極的にリスクを引き受けられる(=戦い慣れている)パッケージへと戻すのも必要なアプローチではないか。


 後半の攻勢は,恐らくパッケージが戦い慣れたものへと戻ったこともあるような,そんな気もします。ただ,もっと積極的に戦術交代を使ってギア・チェンジを仕掛けてもいいのに,という部分はそれほど変わりませんでしたけれどね。