The important part.

ここしばらく,数字の話ばかりでありまして(恐縮です)。


 個人的にも,スッキリしないところがありました。もちろん,スッキリしないのはコーチング・スタッフもそうでしょうし,ほかならぬ選手たちもスッキリしていなかったはずです。


 2005シーズンから2006シーズンへ,という変化よりも,恐らくは06シーズンから07シーズンへの変化の方が大きいはずだし,チームを熟成させるだけの時間的な余裕も圧倒的に少なかった。となれば,どうしても実戦を消化しながらチームを熟成させていく必要が出てくるし,一方においてACL,リーグ戦ともに高みを陥れるためには「結果度外視」というわけにはいきません。加えて,チームを形作っている選手たちが,パーフェクトな状態でシーズン開幕を迎えられているわけではありません(コンディションを整える時間が短かったわけです)。序盤からのタイトなマッチ・スケジュールによって,コンディションを十分に回復させることができない,という可能性も考えなくてはならないし,負傷などによる離脱をも織り込みながら,チームを上昇曲線へと引き上げていかなくてはならないのです。


 考えてみれば,相当難しいチーム・ハンドリングを強いられているのが,今季序盤なのではないか,と感じるところがあるわけです。


 そんなチームに,重要な選手が戻ってきそうであります。ということで,こちらの記事(Sponichi Annex)をもとに書いていこうかな,と思います。


 ある意味,浦和というクラブと“Run&Gun”というスタイルは結びつきが強いような感じがします。


 ただ,最近のスタイルから“Run&Gun”という要素をそれほど強く感じるわけでもないように思います。と言っても,ドリブル,という要素を指しているわけではありません。アウトサイドであったり,センターからドリブルでボールを保持しながら攻め上がっていく,という局面は確かに見ることができます。ショートレンジ〜ミドルレンジ・パスをダイレクト,あるいはワンタッチ程度で繰り出しながら相手を崩していく,というポゼッション志向の強い仕掛けよりは,シンプルな組み立てと,ドリブルを生かした攻撃を仕掛ける傾向が強い。その意味では,カウンター・アタックという基盤は今季にあっても継承されていると見るべきだと思うし,ポゼッションからの仕掛けよりも速攻からの仕掛けが得点へとつながっているケースが多いようにも感じます。


 しかしたとえば,比較的低い位置にポジションを取っている前線が,ボールを保持すると積極的に相手守備ブロックの裏に飛び出していくとか,相手を縦方向の鋭さで振り切るような仕掛けは,ちょっと少なくなっていました。


 でも,ホントは「裏に抜けていく動き」こそ,いまの浦和にとって重要な要素だと思うのです。ワシントン選手のポテンシャル,パフォーマンスを最大限に引き出しながら,スペースを鋭く突くためには,スピードを持ったFW(ポジショニングによってはシャドーであったり,ウィンガー的な位置付けになることもあるでしょうけれど。)が現状においては“ミッシング・ピース”であるような感じがします。


 そのミッシング・ピースが,達也選手ではないか,と。


 日刊スポーツさんの記事では,ヴェルディ・サテライトとのTMで「前半45分間で持ち味のスピード感とキレのあるプレー」を見せてくれた,と藤中さんが書いていますが,いきなり高い負荷の掛かる実戦に復帰させるというのもリスキーだろうな,と感じます。そういう部分では,A3において本格復帰をさせる,という意向を持っているだろうことがうかがえるエンゲルス・コーチのコメントに納得するところがあります。


 確かに波には乗り切れていないような印象を与えるかも知れないけれど,ならば波に乗り切れていないにもかかわらず首位から勝ち点差2の4位(第11節終了時)に付けていることを大きく評価したい。


 チームとして明確な加速態勢をとるのは,まだ早い。加速態勢を作り上げ,その加速態勢を維持したまま駆け抜けるには,どうしても必要な戦力であることは確かなこと。そのときに,100%のパフォーマンスを見せてくれればいいのではないか,と感じるわけです。