対G大阪戦(07−11)。

ある意味,2005シーズン以上に難しいチーム・ハンドリングを強いられているような。


 2005シーズンも,考えてみれば基盤となる方向性を転換しておりました。プレッシングの質を転換させ,最終ラインへと追い込んでから攻撃を開始する。このイメージを浸透させるのに,結構な時間がかかったように記憶しています。


 ちょうど,そんな状況かも知れない,と思うわけです。ちょっと諸事情によって正確なゲームの把握ができていませんので,ごく大ざっぱに書いておきます。


 前半に先制点を奪取され,追い掛ける展開になってしまう。ただ,チームに負荷が掛かりはじめると,ダイナミズムを取り戻し,チームの流動性が高まっていく。


 基本的に,”チームがダイナミズム,高い流動性を持っているならば,基本的に3か4か,という話にはなりにくい”と思っていますし,積極的にバランスを崩すような動きができるはずだ,と思うのです。実際,2006シーズンのパッケージは3を基準とするものでしたが,時間帯や局面によっては限りなく4に近い運用をしていることもあるし,あるいは3と4の中間形態のような時間帯もあったような気がします。


 ですが,今季は初期バランスからのコンビネーション,という部分で熟成不足を感じられる。


 2006シーズンの3と同様,に思えても,アレックス選手と相馬選手とでは上がりのリズムや攻撃リズムなどが違うわけですから,アウトサイドでのバランスは違っていますし,阿部選手の加入によって最終ラインとディフェンシブ・ハーフ,あるいはアウトサイドとの関係性を再確認する必要が出てきます。


 恐らく,戦力バランスや戦術的な広がりを強く意識して,4への転換を意識したはずです。


 しかし,今節のパッケージは3。


 確かに熟成途上かも知れませんが,浦和の攻撃を支える大きな要素であるアウトサイド,その主導権を掌握するためには,“ダブル・アウトサイド”が作りやすい4で押し切る,という選択もあったように思うのです。ごく大ざっぱな理解ですが,4を守備能力の高い選手で固める,という意識での4として意識するのではなく,攻撃面での要素を押し出すことで,結果的にアウトサイドからの攻撃を抑止する,という考え方での4の運用を意識できる,そんなタレントを抱えているように思えるのです。


 今節でも,阿部選手と相馬選手がスターターとしてクレジットされていましたが,ディフェンシブ・ハーフとアウトサイド,という関係ではなく,縦方向に高い流動性を持ったSBとサイド・ハーフという位置付けであってもおかしくない。同様に,シンジ選手(あるいはポンテ選手)と暢久選手が同じ関係性を持てるようになると,アウトサイドに高い展開力を持った選手が構えられることになる。


 確かに3を基盤とするパッケージは成功を収めてもいます。


 しかし,今季トライしはじめた4も,「いまの」浦和が持っている戦力,彼らのポテンシャルを引き出す可能性を持ったパッケージだと思っているだけに,G大阪戦において3を使ってきたというのは,ちょっとだけもったいないようにも思える。さらに,チームに対して高い負荷が掛かってからの動きは,持っているポテンシャルを感じさせるものでもあった。ならば,なおさらにポテンシャルを立ち上がりからスムーズに引き出せるようなパッケージを早期に固める必要があるはずです。


 3でも4でも確かに問題はない。ゲーム中に,攻撃的な姿勢を強めるために布陣を変えるという選択があってもいい。しかし,今季の「基盤」を明確に感じられる状況には残念ながらまだなく,今節においてもその印象が変わるところはありませんでした。2007スペックの浦和,その基盤が強烈に感じられるようになると,完全にギアがエンゲージされたような感じになるのではないか。そんな感じがします。