Reflect.

“ペナルティ・キリング”なんて表現があります。


 最近,ちょっと多めに取り扱っているアイスホッケーの言葉です。


 この言葉の裏には,チームが“ショートハンド”に陥っている,という状況も当然存在しています。マイナー・ペナルティか,それともメジャー・ペナルティか,ミスコンダクトかなどによって時間的な違いはありますが,数的不利な状態で戦わざるを得ないわけです。そんな数的不利を跳ね返し,失点ゼロで乗り切ることを,“ペナルティ・キリング”と表現するわけです。


 このペナルティ・キリング,NHLプレーオフ(カンファレンス・ファイナル)に進出しているアナハイム・ダックスが得意とするところなのだとか。しかし,カンファレンス・ファイナル第1戦ではデトロイト・レッドウィングスにパワープレイをフィニッシュにまで持ち込まれてしまいます。第1ピリオド,レッドウィングスが先制点を奪取した場面です。


 レッドウィングスの攻撃をダックス・ディフェンスは一度跳ね返している。しかし,パック・コントロールまでを回復したわけではなく,クリアしただけにとどまる。そのクリアしたパックを奪ったのは,左サイドに展開していたレッドウィングス。このパックを押し込まれる形で得点を奪われている。


 ダックスの仕掛けている守備網がレッドウィングスに対して綻びを生じていた,という見方もあるのでしょうが,逆にレッドウィングスが跳ね返りを見逃さないポジショニングをしていた,という部分も大きいのではないか,と感じます。


 ノンビリとBS1を見ていて,ふと思い出したのが,この第1ピリオドのことだったわけです。


 千葉の守備ブロックが集中を欠いていた。確かに,そういう要素もあるだろうと思います。ホームであるFC東京は立ち上がりから積極的なプレッシングを仕掛け,またアウトサイドを攻撃的な部分で抑え込もうというゲーム・プランを徹底していたようです。東京が立ち上がりから仕掛けてきた攻撃スタイルにアジャストしきれなかった,と言うか,彼らを上回る攻撃的な姿勢でプランを抑え込む,という方向性へは進まなかった。東京サイドのゲーム・プランをあまりに真正面から受け止めてしまったような感じがします。


 そのために,どこかドタバタした印象が90分を通じて流れていた。


 運動量をもって数的優位な局面を作り出し,フィニッシュへと結び付ける。そんなスタイルを自分たちが表現するのではなく,むしろ相手が表現している。ある意味,らしくない,「落ち着かないゲーム」を落ち着かせようという意図を持って,バックパスという選択をしていたりしたのでしょうが,相手はそういうボールも明確に狙っていた。千葉にとっては,すべてが“Not our day”だったようにも見えるけれど,not our dayに「なってしまった」と言うよりは,東京サイドが積極的に自分たちのスタイルで戦おうという意思を押し出し,千葉はその姿勢を受け止めてしまった。2点目,3点目につながったプレーには,そんな要素が見えるように思うのです。