対Persik Kediri戦(ACL Matchday 5)。

このゲームひとつだけを取り出せば,違った印象もあるように思います。


 ただ,ファースト・ラウンドはリーグ戦です。リーグ戦全体を考えれば,主導権を手放すことなく最終節を迎えることができるわけですから,シッカリと収穫を持ち帰ってくれたように思うのです。


 グループリーグのスタンディングを見ても,グループEは意外なことにドロー率が高く,勝ち点も接近しています。そして,2位のポジションに付けているシドニーFCはケディリとのアウェイ・マッチを落としてもいる。第4節終了時で考えれば,どうしても「勝ち点3」を奪取しておきたい相手だったわけですが,厄介な要素を持っている相手だとも言える。実際に,難しいゲームになってしまった感じもしますし,その中で勝ち点1を確保できているのは収穫と言っていいのではないか。そんな感じもします。


 ということで,ちょっと短めに。


 ピッチ・コンディションからして,そもそも疲労という負荷がかなりかかっているチームには結構なネガティブではなかったか,と思うのですが,一時は逆転を許しながらも押し戻すことに成功し,再び1点のリードを奪いもする。確かに,ゲーム終盤の時間帯に追いつかれてしまったことで,奪取できた勝ち点は1にとどまります。しかし,「総力戦」を乗り切ってみせたし,国内リーグ戦ではスターターとしてプレイしていない選手が持っているポテンシャルだったり,パフォーマンスを実戦という舞台で確認できたことは大きいと思うのです。


 連戦というタイミングで,スターターを徹底して固定してしまうことに対しては,それなりのメリットも存在しているはずですが,当然デメリットも出てくるはずです。


 チームとしてのダイナミズムを維持するためには,チーム内競争が健全な形で存在していることが必要なはずです。スターターとして活躍している選手であっても,コンディションが下がっているならば積極的に休ませるという選択もあるはずですし,逆にリザーブの選手であってもトレーニングでコンディションの良さ,あるいは良いパフォーマンスを見せているならば,積極的にスターターに引き上げていく。


 誰かが出ていなければ,浦和としてのスタイルが表現できない,というレベルではさらなる進化を考えることは難しい。誰がピッチに立っていようとも,浦和が表現すべきフットボールはシッカリと表現できるようになることこそ,浦和が上昇曲線を描くための大きな前提であるように思うわけです。


 確かに,今回は物理的にリーグ戦そのままのスターターを組めなかったわけですが。


 そんなときに,浦和のフットボール・スタイルが大きく変化してしまうようでは困るわけです。リザーブの選手を実戦投入し,「高い負荷」が掛かった状態で,浦和が表現すべきフットボール,そのイメージを浸透させることもまた,意味あるアプローチであるはずです。後半立ち上がり,縦へのシンプルな組み立てを意識させるような戦術交代を仕掛けてきた。やっと,チームをリザーブを含めて大きなパッケージとして意識し,明確な戦術的メッセージを込めてフレッシュな戦力を投入するような状況になったか(そもそも,リーグ草創期には当然のこととしてやっていたようにも思うのですが。),と感じます。


 ペルシク・ケディリに直接引導を渡すことはできなかったけれど,最終節に勝ち点3を奪取すれば,直接対決となるシドニーFCのみならず,ペルシク・ケディリを蹴落とせる。それにしても,最終節が重みを持ったゲームになる,というのは浦和にとってのDNAのようなものかも知れません。