対大宮戦(07−10A)。

端的に言ってしまえば,「受けてしまった」ゲームだったように思います。


 自分たちのフットボールを押し出すのではなく,相手が仕掛けてくるフットボールに対して,自分たちを合わせるかのようにゲームに入ってしまう。必ずしもフットボール・スタイルが安定していない状況にあって,相手に合わせるかのようにゲームに入れば,主導権を掌握されることになる。特に,相手が組織的なフットボールを展開していると,主導権を取り戻すのに必要以上の時間がかかることになる。


 浦和が持っている悪癖,とも言うべき要素ですが,今節においてもこの悪癖は顔を出した。ただ,90分プラスを終えて,獲得した勝ち点は1。


 負けていないのか,勝ちきれないのか。


 この評価に関しては,この先,どれだけチームが戦術的な要素を早い段階で整理し,ひとつのハッキリしたビジョンに仕上げられるか,という部分にかかっているような感じがします。ただ,少なくともリーグ戦のひとつの要素,「他力」の部分で救われているのは確かなこと。いつまでも,同じような幸運があるとは限らない。「自力」の部分を修正していかないと,リズムが悪化しかねないように感じます。


 ということで,中野田でのアウェイ・マッチをもとに。


 ここ数節,数字の話ばかりで恐縮ではありますが。


 4での動き方が修正しきれていないような感じがします。


 そのために,慣れているはずの3にまで悪影響が及んでいるようにも感じるところがあります。特に,CBとSBの関係性が3のイメージに引きずられているような感じが強い。ごく大ざっぱに言ってしまうと,絞り込みすぎているような印象があるわけです。もともと,ラインが3に比べて左右方向に広がっているのが4のアドバンテージですし,アウトサイドへのケアが(時間帯によっては)相当高い位置から可能になるはずなのですが,絞り込みを強くし過ぎてしまうと,4のメリットを放棄することになってしまうし,最悪のケースではスイーパー不在の3バックのような局面を生み出してしまうことになります。


 また,SBが攻撃面での重要な要素になるはずなのだけれど,守備的な意識が強くなり過ぎるとボールを大きくアウトサイドへと展開したときの収まりどころが少なくなってしまうなど,昨季にも見られた“チームの重心が後方に大きく傾いた”時間帯が増えてしまうことになる。さらにアウトサイドからの攻撃,という部分では,視野が広く,ボールを大きく展開する能力を持った選手がアウトサイドへと開いている,あるいはイニシャルでSBのポジションに入っているときにチームが安定しているような印象を受けるのは,浦和が持っている強みを最大限に引き出すためにはアウトサイドでの(特に攻撃面における)主導権を掌握している必要がある,ということの裏返しであるような感じがします。


 ・・・とまあ,戦術面で不安定さを感じているわけですが。


 実際には,ひとりひとりの選手に対して「重さ」を結構強く感じるところもあります。特に,浦和の攻撃,守備両面において鍵を握っている中盤での機能性が,疲労という側面によってかなり低下しているような感じがするわけです。


 柔軟なポジション・チェンジを基盤としながら積極的に仕掛けていく,というスタイルを押し出すためには,フィットネスが高みで安定していることが必要だと思うのですが,連戦によって消耗しているような印象を受ける選手が多い。海外アウェイを含めて過酷な連戦となっているこの時期,間違いなくクラブとしての総合力が問われているタイミングではないか,と感じます。


 「最強規定」がありますれば,徹底したターンオーバーをするわけにはいきませんが,中盤での流動性を維持するためにはいままでのスターターを「積極的に休ませる」という決断もあってしかるべきではないか。そして,主力をうまく休ませながら,同時にチームとして戦術を深く理解している基盤を広げようとするのであれば,この意図を明確に伝えていく。そんな時期に来ているのではないか,という感じもするのです。