R6から思うR1。

“スーパーストック”(SS)規定を意識した,レーシング・プリペアードであります。


 もともとは,プライベティアの積極的な参戦を意図していたはずのSSですが,特に欧州では600ccマシンの人気が高くて,レースでの成績がブランド・イメージに直結したりするために,実質的な“ファクトリー・マシン”だったり,そのものズバリのワークス体制でSSに参戦するケースが増えてきています。また,AMAなどでは1000ccマシンが速くなりすぎた,ということで600ccマシンへとシフトしていますから,さらにワークスが前面に立っているケースが多い。


 どちらかと言えば,カリカリのレーシング・プリペアードは出さない傾向が強いヤマハですが,ときどきとんでもないバイクを市場投入することがあったりします。まだ,YZFという名前がレース専用で使われていた頃にリリースされたOW−01だったり,WSBが750ccマシンで戦われていた最後の頃のYZF−R7などが確か,レースをすごく強く意識したバイクだったと記憶しています。


 むしろ,R6はこの系譜で考えた方がいいのかも知れません。



 ということで,ちょっと気分を変えてフットボールを離れたエントリであります。ウィークエンド・スペシャルとして手に入れるならば,ちょっと考えてみたいバイクの最右翼,YZF−R6であります。


 リッター・スポーツは,絶対的なパワーが高いだけに緊張感がある。あるのですが,スーパーストックのベース・マシンにはちょっと違った緊張感があるとか。


 クルマでもそうですが,(ホント微妙,でもいいのですが)アクセルを開けてコーナリングをしていかないと,逆に挙動が安定しないケースがあったりします。自分がコントロールできる速度域を超えてコーナーに飛び込んでしまうと,タイアが駆動されずにコーナーに入っているから凄まじく怖い思いをする(と言いますか,クルマが無事にコーナリングを終えられる可能性を猛烈に下げてしまう)種類のクルマもあったりするわけですね。スローイン・ファストアウトをシッカリと意識しておかないと,楽しくないクルマというか。


 そんな,クルマ任せではなくて,自分から積極的にマシンをコントロールしてあげる必要のあるバイク。ちょっと,市街地だと必要以上に神経を使ってしまうバイク,という言い方でもいいでしょうか。週末,あんまり交通量が多くない山岳路(ある程度,道幅が広くないと困るような)であったり,もっとハッキリ潜在能力を解放してあげるのならば,筑波であったりもてぎ,FISCOあたりのレーシング・トラックでスポーツ走行を楽しむような。


 そんな余裕があれば(という場合は大概ないんですがね。),こういうバイクを物置兼用のガレージに置いておいても,って思いもしますが,実際にはR1の中古あたりが気になりますね。実際,R1の初期モデルは意外なことに,このR6の顔付きと似ているんですよね。ヤマハ的に解釈した916顔というか(やっぱり,タンブリーニさんはある種の天才なんですな。)。しかも,いまのモデルよりも公道を意識した方向性に振られている。公道で使うならば,“レース”を意識しなくてもいいし,山岳路で「(緊張感を含む)ストレスなく」楽しい方がいいですしね。