対鹿島戦(07−08A)。

そもそも,戦術的な約束事は選手たちのコンビネーションをスムーズに引き出すべきもの。


 また,対戦相手がどういうスタイルで攻撃を仕掛けてくるか,あるいは守備網を敷いているか,という部分も関わってくる。当然,3か4か,という部分には指揮官の意図するフットボールが反映されるのだろうけれど,同時に柔軟性を持っている必要もある。


 ・・・そうは言っても,かなり直感的に「3だな!」と思ったのでしょうけれど。


 確かに,スターターを見れば,熟成途上の4を無理に使うよりは,2006シーズンの枠組みである3を応用した方が安定性が増すでしょう。坪井選手,堀之内選手を使いながら4を組んでしまうと,ちょっと後方に重心が傾いた4になってしまいます。4バックが「文字通りの」4バックだと,攻撃を仕掛けるときに中盤での流動性が低下してしまったり,アウトサイドからのサポートが薄くなってしまう。


 そんな状況を直感的に判断するきっかけは,キックオフを前に用意されていたとも感じます。


 また,実際に相手の布陣をチェックして,4より3の方が戦いやすい,と判断した。良いことだと思います。ということで,鹿島戦をちょっと短めに。


 浦和が「らしさ」を表現できるかどうか,という部分は,やはり中盤とアウトサイドが握っているな,とあらためて感じます。3か4か,という数字の問題ではなくて,どれだけ選手がスムーズにポジションを動かしながら,ボールを展開することができるか,という部分が効果的な攻撃を仕掛け,あるいは組織的な守備を仕掛けるための大事な要素ではないか,と思うのです。
 4での「らしさ」を(残念ながら,時間帯限定ではありましたが)発揮した柏戦でも,やはり中盤の流動性であったり,コンビネーションがリズムを生み出していましたし,3を基礎とする布陣へと変更をかけた今節でも中盤が「らしさ」を作っていたような感じです。
 そして,ディフェンシブ・ハーフ(アンカー)として守備バランスを取ることを強く意識している啓太選手が大きくポジションを変化させて,左アウトサイドへとボールを持ち出したところから先制点(そして,決勝点)につながっていく。「ひと」だけを意識するのではなくて,「ひと」が作り出す「スペース」をも狙ってパス・ワークを組み立てることで,相手守備ブロックを揺さぶり,パスを繰り出すタイミングによっても,さらに揺さぶりを加える。そんな姿が見えた局面だったように思います。


 ちょっとリアリスティックな戦いだったかな?と思う部分もありますし,ちょっとイヤな攻め込まれ方をした時間帯も確かにありました。
 ですが,今節は内容よりも「結果」を求めるタイミングかな?と感じる部分があるのです。
 リーグ戦序盤ではありますが,ちょっとだけカップ戦的な連戦です。当然,チームに掛かる負荷も大きくなりますし,総合力が試される時期です。「勝ち点3」を奪取することでリズムをつかまないと,そう簡単にリズムを取り戻せないままにゲームをこなすことにもなりかねない。このタイミングで,熟成途上の4でリスクを引き受けるよりは,昨季のパッケージである3を基礎にして,リズムをつかむことを優先させたのだろう,と理解しています。


 “0−1”(アウェイ・マッチですので,この表記で。)というファイナル・スコア。守備面で安定性が取り戻せていないとこのスコアは成立しませんし,またチャンスをモノにするという部分もないといけない。昨季のような「勝負強さ」を表現できたことが,「勝ち点3」を奪取できたことと並んで今節での収穫,かも知れません。