対川崎戦(07−07)。

なかば意図的,ではありますが。


 ・・・/90,という局面,ゲームの流れからすれば,ちょっとした隙が生じた時間帯だけをあえて取り出す形で,「課題。」などというエントリを書いておりますが,個人的にはチームが4を消化しはじめているな,という感じがあります。


 ということで,1日遅れで書いていこうと思っております。


 さて,今節の中盤はかなりフラットな形に見えました。


 ディフェンシブ・ハーフのポジションには啓太選手と長谷部選手が入り,サイド・ハーフの位置にシンジ選手とポンテ選手が入る,という感じです。で,前線はポジション・チェンジを仕掛けている時間帯を除いては,永井選手とワシントン選手が互いの位置を確認しながら攻撃へと絡んでいく,純然たる2トップです。


 相手中盤を徹底的に抑え込みつつ,ボール奪取位置を高めに設定する。同時に,最終ラインを極力高めにコントロールすることで,全体をコンパクトに維持する。そこから素速い攻撃を展開する,というのが恐らくは今節の戦術イメージだったか,と感じます。
 その戦術的な意図は,相当程度実現できていたのではないでしょうか。
 実際,ライン・コントロールという部分では相当意識付けが高いな,という感じもありました。今節は,闘莉王選手の負傷によって堀之内選手がCBとして最終ラインに入っていたわけですが,“ライン・コントロール”は非常に安定していました。また,ボール奪取からの攻撃も,連動性を感じられるレベルにまで熟成されてきた感じがあります。守備面での不安が残っていた段階では,ディフェンシブ・ハーフが攻撃参加する局面が少なかったのですが,前節あたりから積極的にボールを保持しながら攻め上がり,局面によってはフィニッシュにまで持ち込む,という形が明確に見えてきています。加えて,堀之内選手も独特のリズムで巧くボールを保持しながらポジションを上げていくことで,攻撃に厚みを加えていた。これらの点は,間違いなく「上昇曲線」に入っている部分ではないか,と感じます。


 ただ,個が発揮すべきパフォーマンスと,組織的に相手を切り崩すバランスがまだツボにはまり切れていないかな,と感じるのも確かかなと思います。


 まず,前線にあまり良い形でボールが収まらなかったことは,ちょっともったいない。“オフサイド”であります。
 いささか不可解なオフサイドもありましたが,基本的にはボールを繰り出すタイミングを「遅らされていた」部分もあるかな,と思います。
 前半,ボール奪取の局面では確かに安定性を見せていました。そこから攻撃を組み立てていくわけですけれど,相手のボール・ホルダーに対するプレッシャーが決して緩かったわけではありませんから,そのプレッシャーを回避する動きを織り込みながらパスを繰り出すことになります。そのときに,パス・レシーバーになる選手たちの“オフ・ザ・ボール”での動きがちょっとだけズレを生じてしまったような感じです。
 このズレに関して言えば,前線を2トップで構成するよりは,前節のように1トップ2シャドー(と言いますか,ウィンガーを配した3トップ)的なスタイルの方が,浦和には合っているかな,と感じる部分が,やはりあります。アウトサイドからドリブルでセンターへと切り込んでくる動きをする選手が比較的多いし,その動きをトップと連動させるためには,純然たる2トップよりはウィンガーを含めた5人の中盤が高い流動性を持ったスタイルを熟成させるべき,のように思えます。


 このタイミングでパスが通れば・・・,という局面は結構多かったのですが,最終的な部分での守備応対が,相手も安定していた。前半,「主導権」であったりゲームの流れという部分では浦和が掌握していた時間帯が多いのですが,相手の守備応対に決定的な破綻を生じさせるようなタイミングでのパスであったり,縦方向での突破,という部分でのズレがフィニッシュに影響してしまった,という部分もあるかと感じます。


 最終的には,相手最終ラインであったり,ゴーリーをホメるべき部分かも知れませんが,ゲームの流れを掌握している時間帯にフィニッシュに持ち込めなかった,という部分が後半立ち上がりの時間帯での“エア・ポケット”につながってしまったような感じもします。
 ただ,今節でのズレは「微調整」の範囲に収まっているものだとも感じています。連戦を闘う時期に突入していますから,じっくりと調整作業をすることは難しいでしょうが,決して解決できないような課題ではないと感じます。


 少なくとも,上昇曲線に乗りつつあることは確かです。「結果」こそ伴わせることができなかったけれど,足踏みをしているわけではない。悪くないゲームだったと思っています。