対上海申花戦(ACL Matchday 3)。

「勝ち点3」を奪取したことは間違いなく収穫,ではあります。


 ですが,まだ4を使いこなせていないことも,また確かであるようです。ということで,ごくカンタンに。


 最終ラインのポジショニングが,もうちょっと高くなると連動性が高まっていくような印象を持っているのですが,まだ2006スペックを強く意識しているような感じです。


 ごく大ざっぱな言い方をすれば,リトリート的な要素を強く持っている2006スペックのフットボールから,ポゼッションを高める方向性へとスタイルを微調整しつつあるのが,今季だと感じるのですが,守備ブロックが持っている基本的なイメージは,比較的深めの位置に守備ブロックが構え,ストリクト・マンマークに近いゾーン・ディフェンスを展開する,という2006シーズンの延長線上にあるように感じられます。


 そのために,最終ラインと中盤との距離が開いてしまうように感じられるのです。


 また中盤にしてみれば,ポジショニング・バランスを常に意識しながら,同時に攻撃ユニットとの距離感も適切に維持していく必要性がある。加えて,サイドに開いている中盤を考えれば,SBとのポジション・チェンジをスムーズに繰り返せるようにならないと,浦和の攻撃を支える重要な要素であるアウトサイドからのボール供給などの攻撃的な部分が,シッカリと引き出せなくなってしまうことになります。


 これらの要素がバランスしはじめると,チームはさらにコンパクトな陣形を維持でき,スムーズにボールを前線へと運べるようになるのでしょうが,まだ4に対する戦術的なイメージがシッカリと束ね上げられるまでには至っていない。


 まだ,これらの要素が整理されていない状態で,すべての要素をケアしようとしているから,必要以上の負荷が中盤にかかってしまう。そのために,中盤でのダイナミズムが後半の時間帯に急激に低下してしまったかのような印象を受けるのかな,と思うのです。


 FWのコンディショニングであったり,フィットネスも「決定力不足」という部分には関わっているかも知れませんが,ボールがスムーズに前線にまで動き切れていない(イロイロな部分を確認しながらボールを動かしている),という部分も影響しているように思います。逆に,ハッキリと縦に鋭い“カウンター・アタック”を仕掛けているときには,チームが連動性を取り戻したかのような印象もある。まだ,ポゼッションを背景とする攻撃を展開するには,整理すべき課題が多いような感じがします。


 とは言え,(フィジカルであったり,メンタルであったり,イロイロな意味において)トレーニングとはまったく違う負荷がかかる実戦を通じて,4を熟成させているという見方もある。難しいタスクをこなしながら「勝ち点3」を奪取,グループリーグで優位な位置を確保しているのだから,このことは評価すべき,だろうと思います。