4をモノにするために。

指揮官にしてみれば,SBを“スペシャリスト”のためのポジションではなく,ちょっと深めのサイド・ハーフとして意識しているのだろうと思います。


 4と言っても,守備的な選手を単純に4人並べるというわけではない,と思うわけです。


 となれば,優先順位は攻撃面に置かれるはずです。


 広い視野を持ち,逆サイドやセンターへ正確なロングレンジ・パス,クロスを繰り出したり,センターへと切り込んでいくようなドリブル突破を積極的に仕掛けるなど,攻撃の起点をセンターだけではなく,アウトサイドにも置いておきたい,という意識があるのではないでしょうか。センターの強さを引き出すために,アウトサイドをさらに強めたい。そんな意図があるのだとすれば,攻撃的な要素を持っている選手をSBには置きたいでしょう。


 もちろん同時に,守備面での能力も安定していることが求められるのは間違いありません。ライン参加する時間帯もあれば,積極的にファースト・ディフェンスを仕掛けていくべき時間帯もある。となれば,守備面での能力も安定していなければならない。


 こんな条件を充足できる選手が,確かに浦和にはいる。4にチャレンジする,という決断を後押しする条件はそろっているわけですね。


 ただ,単純に3から4へと移行できるわけでもない。浦和・闘莉王「難しいよ」、指揮官自信の4バック変更に困惑(SANSPO.COM)という記事をもとに,書いていこうかと思います。


 3から4へ,となると,どうしてもディフェンシブ・ハーフであったり,サイドとの関係を再び整理していかないとスムーズな連携は得られない,ということを「難しい」という言葉は示しているのかな,と感じます。


 ちょっとイメージしてみますと。


 1トップを採用してくる相手に対しては,ディフェンシブ・ハーフがまずファースト・ディフェンスに入り,ケースによってはボール奪取までを意識しながら守備を仕掛け,CBへと追い込んでいく。1トップに対しては,物理的な数的優位が構築できるわけですから,少なくとも安定した守備応対ができるはずです。3トップ的な動き方をする場合には,SBがまずウィンガーをケアしていく。と言いますか,積極的な守備を仕掛けるならば,自陣深くに位置して「古典的な4バック」のようなライン構成をするのではなく,ディフェンシブ・ハーフと連携しながら高めのポジションを維持し,相手ウィンガー,あるいはSBに対するプレッシャーを掛けていく,という形になるでしょう。そして,ボール供給を抑え込みながら,センターをCBが抑えていくというような約束事になるでしょうか。


 2トップならば,恐らくSBのどちらかが,ストッパー的に動くことが意識付けされるでしょう。2006シーズンまでの,3バック・システムに近い形をSBが作るように,ラインがスライドするイメージでしょう。


 いずれにせよ,プレッシングの圧力を高めていく方向性に微調整を掛けていかないと,4を使いこなすのは難しいでしょう。でしょうが,であります。


 2004シーズン後半のハーフコート・カウンターを支えた強烈なプレッシング,あの圧力をち微妙に弱め,かつ互いが連動しながら,コンパクトに守備を仕掛けるという方向性をイメージすれば,案外チームとして4をモノにするのは早いような気がしますし,中盤のタレントを存分に生かすには,4という選択肢は織り込んでおいて良いような気もするのです。「浦和」がさらに進化していくためには,ある意味必要なアプローチ。個人的にはそう感じるところもあります。