3から4へ。

タイトルだけで,ほぼ何のことか理解いただけると思いますが。


 大分戦(アウェイ)で本格的に実戦投入した,4バックを熟成していくようであります。
 ということで,浦和は4−4−2で固定、阿部が左SBで(nikkansports.com)という記事をもとに,ちょっと短めに。


 昨季も,4バック・システムの可能性を感じるゲームがあったりしました。


 確か,アレックス選手と相馬選手を併用する,“ダブル・アウトサイド”スタイルをPSMで採用していたはずです。ただ,このときは「安定性」を重要視したためか,この魅力的な戦術オプションはリーグ戦やカップ戦という実戦に本格投入されることはありませんでした。
 2006シーズンは基本的な守備スタイルをリトリート的なものへと大きくシフトさせ,プレッシングの要素をボール奪取に向けるのではなく,パス・コースの限定であったり守備ブロックが仕掛けている網に掛けるという方向へと向けていた。そのバランスを,どこかで2004シーズンのバランスと再びすりあわせようと意識していたような感じがあります。


 ホルガーさんが2007スペックの構築に向けて意識しているだろうことと,ブッフバルト監督が昨季試したこととはどこかで共通項があるのではないか,と思うのです。


 攻撃面で考えれば,3か4か,という単純な話ではなくて,どれだけアウトサイドを徹底的に機能させられるか,という部分が浦和にとっての重要な要素かな,と思うところがあります。センターが持っている破壊力は強烈なものがあります。その破壊力を最大限に引き出すためには,ピッチサイズを徹底的に活かした攻撃を仕掛けていくことが求められるように思います。であれば,サイドでの役割整理、中盤での戦術的なイメージのすり合わせが進んでいけば,4を使いこなせると思います。SBとサイドハーフ,あるいはディフェンシブ・ハーフを含めて積極的なポジション・チェンジが仕掛けられるようになれば,3のときと同様のダイナミズムが発揮できるかな,と感じるわけです。


 このことを踏まえつつ,ちょっと興味があるのは,どういう守備の仕掛け方をするのだろう,ということですね。ごく大ざっぱに言えば,守備ブロックでシッカリと相手の攻撃を受け止めるためのプレッシングだけではなく,ボール奪取から鋭くカウンター・アタックを仕掛ける方向性でのプレッシングも意識していくのかどうか,という部分です。
 「安定性」を最重要項目として意識するのであれば,2006スペックのフットボール・スタイルをさらに熟成させていけばいいのだろうけれど,3バック・システムの持つウィーク・ポイントをそのまま積み残しにすることになる。端的に言えば,アウトサイド裏のスペースのロングレンジ・パスによって,守備ブロックが横方向に引き出されてしまうと,実質的に5バックのような形になり,攻撃面が機能不全に陥ってしまう可能性がある。


 このような事態を回避し,同時に3トップ,あるいはウィンガーを使うチームに対して安定した守備応対をするためには,4を採用するという方向性が分かりやすい。


 個人的には,浦和と4の相性はそれほど悪くないと思っていますし,センターの攻撃的な部分をさらに引き出すためには,むしろ避けては通れないチャレンジではないか,とも感じます。