U−23のこと。

ラグビーフットボールにも,「年代別代表」というのはありますが。


 FIFAが定めるような細かいカテゴリ分けは,ラグビーではされていません。IRB(International Rugby Board・「国際ラグビー評議会」と通常訳されます。)がコミットする世界選手権は,U−19とU−21でして,U−23チームで戦われるワールド・チャンピオンシップは設定されていないのです。


 この点,日本が持っている特質を含めて考えるべき,だろうと思います。


 日本においては,“クラブ・チーム”がラグビーフットボールの中心にはありません。


 トップリーグに参戦している有力クラブが,下部組織としてジュニア・ユースであったリユース・チームを持っているということはありませんし,リーグ参加要件として下部組織の設置を義務付けているわけでもない。この年代の中核を担っているのは,「学校」という存在です。中学や高校のクラブであり,大学のクラブです。そして,IRB基準であるU−21以降の時期を大学チームはカバーしてもいます。この時期にシッカリとした強化ができないと,フル代表の強さを維持,あるいは発展させていくことはできません。代表チームは“年齢制限付きのA代表”として理解すべきかも知れないし,フル代表(ジャパン)へのブリッジ的な役割を期待されているものとして理解すべきか,と感じます。


 ただ,もともとスコッド(代表候補)としてリスティングされたにもかかわらず,先頃発表された,“リポビタンDチャレンジ2007”に向けた代表メンバーにはリスティングされなかった選手にとっては「降格」という意識もあるかも知れません。
 FWで言えば北川選手,BKでは矢富選手や今村選手,ロアマヌ選手が選出されていますから,そんな意識になるのも仕方ない,とは思う。思うけれど,考えようによっては「さらなる強化の機会」を与えられた,という見方もできるかな?と思うのです。


 ということで,A代表落ちの若手3人に朗報!U−23で“敗者復活戦”(SANSPO.COM)という記事をもとに,ラグビーネタを。


 U−21,U−23を統括する形で,チームを率いるのは,ブレイブルーパス東芝府中)を屈指の強豪チームへと引き上げた薫田真広さんです。攻撃や守備を局面ベースで意識するのではなく,一連の流れ(シークエンス)で捉え,そのために選手たちにはシッカリとした戦術理解や判断力を求める。そして,ゲームを通じて安定した判断を繰り返せるだけのフィジカル・ストレングスを同時に求める。かなり厳しい要求をチームに課していたと聞きますが,同じようなスタイルをジャパンに直結する年代でもあるチームに落とし込むことができれば,全体のポテンシャルが引き上げられるのは確かだろう,と思うわけです。


 フットボールの世界では,「強化の継続性」というテーマが強く意識されつつあります。


 ラグビーフットボールにあっても,このテーマが軽視されていいはずはない。薫田監督にしても,ジャパンの指揮官(いまですと,JKですが)が求める選手像を意識しながらチーム強化を図っていくでしょうし,同時にひとりひとりが持っているポテンシャル,ストロング・ポイントを徹底して引き出すことで使いたいと思うような選手へと引き上げていくつもりでもあるでしょう。
 9月の本戦まで,ジャパンのメンバーを完全に固定するわけではないことは,この記事からもうかがえます。チャンスはあるわけですね。ならば,ジャパンに対する「強烈な刺激」としてポテンシャルを見せ付けてほしい,と思うのであります。