RWCに向けて。

ラグビー・ワールドカップ(RWC)では,2勝を狙うとか。


 そこで,グループリーグの対戦相手を確認すべくRWC2007のプール(RWC2007オフィシャル)を見てみますと,かなり難しいタスクだと感じるところがあります。
 2勝というものを「現実的にクリアすべき目標」と位置付けるとなると,オーストラリアやウェールズという,ラグビー・ネイションズを相手に“アップセット”を狙えるようなところにまでポテンシャルを引き上げていかないと,フィジー,カナダから勝ち点を確実に奪取する,という形には持ち込みにくい、と思うからです。


 そうなってくると,本戦までの期間が日本代表にとっては重要な期間となるわけですね。


 日本代表の2007年度スケジュール(JRFUオフィシャル)を見ると,RWC本戦を意識したスケジュールが(ある程度は)組まれているな,と感じます。


 ラグビーフットボールフットボールと違って,3月にはシーズンが終了しますから,(各所属先の深い理解と協力体制が必要になるのは間違いないところですが)比較的日本代表を中心とするスケジュールが組みやすいところがあるような感じです。


 ラグビーフットボールは「個」の持っている能力が,チームとしてのパフォーマンスにつながっている部分が比較的多いところがあります。ですが,組織的な要素がまったく不要か,と言えばそんなことはないわけです。サントリー・サンゴリアスにせよ,東芝ブレイブルーパスにせよ,ひとりひとりが持っているパフォーマンスをチームとしてのパフォーマンスへと引き上げていくためには,戦術的な熟成が必要不可欠な要素だし,そのためにはある程度の時間的な余裕が必要となります。
 そんな部分を意識して,このスケジュールを見ていくと,日本代表として持っているべきポテンシャルであったり,パフォーマンスを「チーム」としてのパフォーマンスへとまとめ上げ,最大限に引き出すために,戦術的なイメージの確認などの組織的な部分を徹底して熟成させていくためのスケジューリングだな,と感じます。


 直近のテストマッチとしては,“リポビタンDチャレンジ2007”(アジア3ヶ国対抗試合)がありますが,このゲームは熟成初期段階として,ひとりひとりの選手が持っているパフォーマンスがどれほど実戦で表現できるか,あるいは直前合宿などで確認した戦術に関する理解度がどれだけあるか、などをチェックする実戦機会として,意識されているような感じです。
 また,5月末からは“IRBパシフィック・ネーションズカップ”がはじまり,RWC本戦(グループリーグ)での対戦が決定しているフィジー代表,そしてオーストラリアA代表との対戦が控えています。ここでは,RWCへの方向性が見えてくるはずです。特に,オーストラリアA代表とのテストマッチは大きな意味を持つものと感じます。


 ラグビーフットボールにおける“A代表”の位置付けは,フットボール的な表現をすれば,“B代表”に相当するものです。実質的なB代表とは言え,その持っているポテンシャルは決して低くないし,この対戦において日本代表がどこまで戦えるか,という部分はフル代表であるワラビーズに対するプレッシャーともなる。当然,ラグビー・ネイションズの日本に対する目線も違ったものになってくるはずです。ピークを設定するならば,このテストマッチに向かって設定してくるだろうと思うのです。


 さて,7月以降のスケジュールはまだリリースされてはいませんが,6月までのスケジュールでどこまで代表がポテンシャル・アップできるか,という部分が大きく影響してくるのは間違いないところでしょう。トライ・ネーションズと比較して,地味な印象があるのは当然ですが,今季のパシフィック・ネーションズカップは,ちょっと注目する価値があるのではないか,と思いますね。