センバツ(ラグビー版)。

・・・開催県枠ってのは,「百害あって一利なし」(!!!)だと思いますね。


 ラグビーフットボールにも“センバツ”というものがありまして。


 年末年始に近鉄花園で開催される全国大会は,各都道府県に少なくとも1校,参加校が多い地域では複数の代表校が存在します。しかし,センバツですと地域ブロックごとに何校,と参加枠が決まっている。野球と同じです。
 しかし,野球では存在しないのが「開催県枠」というモノであります。


 埼玉県代表は,この開催県枠によって出場を許されることになるわけです。つまり,センバツのベニューは熊谷市上川上。熊谷スポーツ公園熊谷ラグビー場であります。そのため,開催県枠は埼玉県に付与される,というわけです。となると,2月に開催される新人戦を勝ち抜けば,その時点でセンバツへの切符は確保したことになる。トーナメント・ドロー(高体連ラグビー専門部オフィシャル)を見ると,熊谷工と文字通り互角の戦いを展開し,3位のポジションを得た浦和高校(今季も良いチームに仕上がりそうですな。),順位決定戦において県北強豪校の一角である進修館(旧行田工)を崩した慶應志木(それでも,まだ熟成段階かな?)など,県南部や南西部の高校が頑張ってくれていることが目に付きます。特に,全国大会県予選を含めて考えると,ここ数季安定して浦和がSFあたりにまで勝ち上がってくれていることを思えば,パワー・バランスが北高南低から着実に変わりつつあることが感じられます。“ライバル”が北部だけではなく,南部にもあるというのは埼玉県のレベルを引き上げる大きなきっかけになる。間違いなく歓迎すべき状況だと思います。


 とは言え新人戦にあっても,県北部の強豪校が相変わらず上位を譲らず,正智深谷が優勝を飾るわけですが,そのあとがいただけない。


 関東ブロックの新人戦(高体連ラグビー専門部オフィシャル)を見ると,埼玉県勢,特に深谷は何をしていたのか!と。確かに,開催県枠を取れなかったこと(新人戦で優勝を飾れなかったこと)はダメージとして残るだろうけれど,関東に進出できたのは確かだし,4校の枠に入ればセンバツ出場権を奪取できる。恐らく理解はしていたはずだけれど,ファイナル・スコアは流経大柏にシッカリとリズムを掌握されたままだったことを示してもいる。
 正智深谷にしても,接戦には持ち込んではいるものの,やはり初戦敗退という成績に終わっている。


 埼玉県勢には,近鉄花園で強烈なプレゼンスを示してほしい,と常に思っていますから,期待値は必要以上に高くなってしまうし,それゆえ厳しく見てしまうのですが,「全国を制覇できるだけのポテンシャルを秘めたエリア」だということを示してもらいたい。
 開催県枠を確保しているのだから,関東大会を調整に,というのもひとつの考え方だけれど,「こいつらには勝てねェ!」と関東エリアで思わせることができなければ,全国での戦いで同じことを思わせることはさらに難しい。そんな意識で戦ってほしいと思うわけです。


 ・・・埼玉県勢のことだけで終わりそうになってしまいました。センバツの概要と展望などを。


 このセンバツ,地域ごとに参加枠が決められております。


 まず,強豪校が多い関東ブロックと関西ブロックが4枠を付与されています。
 次いで,九州,東北が3枠,東海ブロックが2枠,そして北海道,北信越,中国,四国が各1枠の参加枠を与えられます。この参加枠に加えて,前年優勝校が所属するブロックに1枠が増枠,「チャレンジ枠」と呼ばれる実行委員会推薦枠が2,新規チャレンジ枠という北海道・北信越/中国・四国ともともと参加枠が少ない地域を狙った参加枠が2枠設けられ,開催県枠を含めて全26チームが戦うトーナメントとなっています。


 ということを踏まえて,トーナメント・ドロー(高体連ラグビー専門部オフィシャル)をながめてみますと。


 やはり,近鉄花園でのシード校が選出されているな,というのが第一印象であります。また,いわゆる「優勝候補」として挙げられるだろう参加校は,関西エリアと関東エリアに集中しているような感じがします。ただ,「現時点での」パフォーマンスが,近鉄花園での選手権に反映されるパーセンテージはそれほど高くないだろう,とも同時に感じます。
 程度差はあるにせよ,最上級生が抜けた影響は各チームにあるはずです。チームを構成する戦力が入れ替わるのだから,恐らくラグビー・スタイルも微調整を受けることになるだろうし,ケースによっては新たな戦術的チャレンジをはじめるチームもあるはずです。「熟成」の初期段階にある,という言い方でもいいでしょう。そんな初期段階にあって,チームとしてのスタイルが早めに構築できているのが,この選抜されたチームなのだろう,という感じがしています。


 コーチング・スタッフのひとたちにとっても,熟成段階のチームがどこまで戦えるのか,そしてさらなる熟成を図るべき方向性がどういうものか,あるいは戦術の方向性を微調整するならばどういう方向性へとチームを振り出すべきか,などのポイントを見極める貴重な実戦として,今回の大会を位置付けているのではないか,と感じます。


 果たして,どういう大会になっていくのか。途中経過はなかなか実際に足を運ぶわけにはいかないですが,ちょっと意識しておこうと思っています。