対甲府戦(07−03)。

ちょっと時期を外してしまいましたので,なるべくシンプルに。


 序盤に,甲府のようなコレクティブなチームと対戦できたというのは,案外意味が深いように感じます。


 浦和というチームは,どういうわけか4バックを採用するチームに苦戦する傾向が強い。しかも,攻撃的に4バックを運用するのではなくて,できるだけ早いタイミングでボール・ホルダーに対して数的優位を構築し,ボールを奪取するために(=守備的な要素を重視して)4バックを使ってくるチームに苦戦を強いられるような感じがするわけです。


 恐らく,パス&ラン(ドリブル)のバランスがドリブル方向に傾く時間帯が多い,ということも意味しているのでしょう。
 ひとりひとりの選手が持っているパフォーマンスを組み上げていく,という部分に関しては「組織」を感じさせる部分が強いのですが,「戦術的に相手を崩す」と言うよりも,個人の高い突破能力を組み合わせていくことで組織的な攻撃を組み立てていく,というアプローチのように思います。そのために,相手のプレッシングを組織的に回避する,というよりも突破能力に頼った仕掛けを繰り返してしまうような感じがします。もっとボールを呼び込む動きが周囲にあれば,ボール・ホルダーの選択肢が増えることになるし,プレッシャーが掛かる前にボールを素速く展開することが可能になる。ひとりひとりの持っている「縦」への速さを単純に組み合わせるのではなく,戦術的なイメージ,という基盤を使いながら縦への速さを最大限に活かしていく。


 思うに,2007スペックを構成する重要な要素は,戦術的な基盤を持った「速さ」をチームに落とし込むことに求められるのではなかろうか,と思うのです。


 今季について考えれば,4バックを採用しているクラブが明らかに増加しています。その中には,ひとりひとりのパフォーマンスを補う要素として組織性を高める,というアプローチではなく,ひとりひとりが持っている高いポテンシャルやパフォーマンスをさらに効率的に引き出すためのアプローチとして,4バックを採用する例もあるように感じます。そのときに,単独突破をシンプルに組み合わせるという攻撃的なアプローチで,「勝ち点3」を陥れることができるかどうか。


 立ち上がりの時間帯,浦和はかつて4バックのチームと対峙したときの姿と,それほど変わることのない姿を見せていたような感じです。組織的な守備応対を繰り返す甲府守備ブロックに対して,この能力を押し出した攻撃を押し出すものの,リズムを決定的に引き寄せることはできず,むしろリズムを失いかねないような攻撃の仕掛け方だったようにも感じます。


 ハーフタイムを挟んで,チームの機能性はしっかりと修正を受けたような感じです。


 パス&ランのバランスが,浦和らしさを失わないレベルで安定してきたような感じがします。その結果として,スペースを意識した攻撃が仕掛けられるようになってくる。


 今節,「勝ち点3」を奪取したことも確かに重要なことですが,組織性と個人能力とのバランスという部分で何らかのきっかけをつかむことができたのではないか,と感じる部分で,チームには2007スペックの方向性がある程度明確に見えてきたのではないか,と思います。そして,このことは勝ち点同様に重要な収穫ではないか,と感じます。