Geometrically Flexible.

4−4−2であったり,あるいは4−2−3−1など。


 静的な,戦術配置であります。


 ただし,この戦術的な配置が90分間プラス,忠実に維持されるかとなれば,これはまったくの別問題となります。たとえば,ディフェンシブ・ハーフやディフェンダーが積極的に攻撃参加をする。そのために,アウトサイドやオフェンシブ・ハーフ,ケースによってはトップが積極的に後方からの攻撃を促すような動きを見せる。必要最低限のリスク・マネージメントは品柄,同時にチームのバランスを積極的に攻撃方向へと振り向け,仕掛けの分厚さを演出する。


 このときのバランスは,間違いなく戦術配置の発展版とも表現すべきものです。


 チームが持っているスタイルが大きな変更を受けることがなくとも,ポジションによって相手の攻撃参加を促し,あるいはスムーズに攻撃参加をしていくために求められている役割は微妙に違うはずだし,そのアジャスティングも重要な要素であるはずです。そして,アジャスティングが進まなければ,ピッチ上で「考える」ための時間が必要になってしまう。誰がどういう動き出しをしているのか。そして,その動き出しに対して,どのようなパスを繰り出すべきか。これらのことを考える時間が生じてしまっていたような感じです。


 その時間が,いよいよ短縮されはじめたな,と感じます。


 浦和の基本的な戦術配置は,3−5−2(3−6−1)。


 中盤での分厚さを最大限に生かすことが求められる戦術配置でありますが,「守備」的な部分に意識が傾いてしまうと,5バック,あるいは6バック的な時間帯を増やしてしまうことになるし,チームが前後に間延びしてしまうことになる。端的な表現をすれば,戦術的な重心が自陣に偏った三角形のような状態になってしまう。コンビネーションをピッチ上で確認すべき時間が短縮されるようになれば,このチーム・バランスがある程度前方へ修正されることになり,勝負を仕掛けるべき局面で攻撃の分厚さが演出できるようになる。自陣を底辺とする三角形を,スムーズに相手ゴールを底辺とする三角形へと変化させる。この変化をどれだけフレキシブルに,そしてスムーズにできるか。そして,相手ゴールを底辺とする三角形を構成する(積極的に攻撃を仕掛ける)時間帯を,どれだけ増やせるか。


 06スペックは,フレキシビリティを抑えながら仕掛けの精度を高める方向性を指向していたように見えます。07スペックでは,このフレキシビリティを少し強めていく方向性へとチームを振り,仕掛けの精度は落とさないという,非常に高い戦術的なイメージを作っているように見えます。それだけに,コンディションが十分に上がっていない段階で仕掛けの精度を求められると同時に,仕掛けに入る段階でのフレキシビリティの基盤となるコンビネーションが確立し切れていなかった歯がゆさが,立ち上がりには強かっただろうとも感じるわけです。


 その,戦術的なイメージがかみ合うきっかけが現実的に見えてきたな,と。


 ヒコーキが離陸体制から,フワッと浮き上がる瞬間があるような感じがします。


 推力は全力のまま,実際には変わるところはない。ないのだけれど,翼に受ける揚力は次第にその強さを増していく。そして,機体を空へと導くだけの揚力がかかる。ちょうど,そんな時期なのかも知れない,と思うのです。