対新潟戦(07−02A)。
やっぱり,もうちょっと熟成を進めるには時間がかかるかな,とは思いますが。
それでも,意図するフットボールの姿は見えてきているようにも思えます。
ごく大ざっぱに言えば,攻撃面での戦術的なイメージがひとつの方向性へと束ねられつつあるな,と思うわけです。ただ,その反対に守備面での戦術的なイメージの整備が遅れてしまったかな,と。
そのために,06シーズンならば冷徹にゲームをクローズできるところが,クローズしきれなかった,ということだろうと思うのです。
単純に言えば,ボール奪取位置を高めに設定しようというのが,ホルガーさんの基本的な設計図だろう,と感じます。ボール・ホルダーを比較的低めに構えた守備ブロックへと誘い込むようなファースト・ディフェンスではなくて,もうちょっと04スペックに近い,ボール奪取を意識したファースト・ディフェンスを仕掛けることを意識しているようです。
となると,全体をコンパクトな状態に維持しておく必要が出てくるわけですが,このイメージはかなり固まりつつあるようです。
ただ,あの時間帯は「迷い」を生じたかも知れない,と感じます。
チームとしての約束事を意識していたから,かも知れませんが,守備ブロックがちょっと高くなっているタイミングを狙われたような感じがします。また,相手は中盤でのプレッシャーを回避するように,シンプルな攻撃を組み立ててもきていた。相手のギア・チェンジに対して,チームとしてどのように対応するべきか,という部分がハッキリしなかった,ということが「勝ち点2」を失った大きな要素かな,と思うのです。
今節のようにアウェイ・ゲームでリードを築き,どのようにしてゲームをクローズするか,という部分を意識しなければならない時間帯にあって,チームとしての意識がバラついてしまうと,恐らくあのような結果になってしまうのだろうと思います。
現任指揮官の指向するスタイルをできるだけ早い段階で形にすること。もちろん,重要な要素です。
ただ,“マイスター・シャーレ”を意識するのであれば,06シーズンのような「現実主義的な対応」も重要な要素です。アウェイ・ゲームで,しかもリードを築いてもいる。となれば,チームとしての最優先課題は「勝ち点3を確保すること」になるはずです。どのようにゲームをクローズするか(積極的に壊しにかかるか)という部分で,確かにまだ未完成な部分があることを示してしまった。
特に,相手はフレッシュな戦力をレギュラー・タイム終了直前に投入,「勝ち点1でも奪いに行く」という明確なメッセージを投げかけているわけです。ならば,その戦術的なメッセージに対応するメッセージを打ち出す必要もあった,ようにも思えます。
確かに,「勝負」に徹したチーム・ハンドリング,という部分では疑問を感じる要素もありますが,同時に違う印象も持っています。
今季は,ゼロ・ベースからのチームとしての熟成を進めながら勝ち点を奪いに行くという,厄介な並行処理を(特に,リーグ戦序盤において)強いられています。そのときに,ホルガーさんは“チームとしての熟成”にちょっとだけウェイトをかけた。そして,その熟成に関して,ある程度の感触をつかむために,戦術交代という選択肢を保留したのだろう,とも思うのです。
ただ,チームは“07スペックの理解,熟成度アップ”に意識が強く振り向けられていて,ゲームを自律的にコントロールするまでの余裕がない。恐らく,05シーズンや06シーズンを思えば,ゲームの流れに応じて戦術的な微調整を自律的にかける中で,ゲームをしっかりとクローズできるはずです。でも,意識は求めるフットボール・スタイルの表現に多くが振り向けられてしまって,「勝負」という側面が相対的に弱まってしまったのではないか。
この部分で,06シーズンのような“リアリスティック”な姿勢が見られるようになれば,恐らく07スペックは本格的に熟成をしてきた,という判断をすべきでしょう。まだ,焦りを感じるべきタイミングではない。そんな感じがします。