スパイクのことなど。

スパイク。UK的な表現をすれば,ブーツですな。


 このスパイク,フットボールという競技をやっていたひと,実際にやっているひとならば,こだわりを持っているものと思います。ケースによっては,部活の先輩の評判が高かったとかいう入り口もあるでしょう。あるいは,憧れの選手が使っているから,という理由でスパイクを選ぶケースもあるでしょう。となれば,数あるメーカの中から,憧れの選手が使っている「特定のメーカ」が選ばれていくことになるわけですな。


 となれば,メーカさんの心理としては,「憧れの選手」と呼ばれるひとたちに使ってもらえることは,マーケティング的に大きな要素となるわけですな。アディダスならば,“プレデター”レンジだったり“F50”レンジは商品展開の中核を構成していますから,契約選手も華やかであります。同じようにプーマも,ナイキやアンブロもプロフェッショナル・フットボーラーと“アドバイザリー契約”という名のエキップメント・サプライヤー契約を締結するわけです。


 当然,国内メイクスだって例外じゃあない。


 浦和ですと,永井選手や相馬選手,阿部選手はミズノのスパイクを使っているはずですし,昨季在籍していたアレックス選手はアディダスからアシックスへとサプライヤーを変更していた。で,こちらの記事(Sponichi Annex)を読むと,シンジ選手のスパイクは2007シーズンからアシックスに変更を受けたのだとか。


 アシックスというと,やはりこの記事でも触れられているようにイチロー選手との関係がよく知られるところです。アシックスさんが展開するベースボール・ブランド,ローリングスのサイトにはイチロー・スパイクヒストリーというページが用意されています。


 このページ,結構興味深いものがあります。


 野球のスパイクというと,スタッドは金属製であり,しかもかなりガッチリしたものが装着されています。当然,重量も相当なものでしょう。ですが,2000年シーズンまではそんな金属製スタッドを装着したスパイクだったのですが,MLBへの移籍を果たした2001シーズン以降はフットボール・ブーツ的に金属スタッドを配した,フットボールとベースボールのハイブリッド,とも言うべきスパイクへと変化しています。このページにはまだ2007シーズン・スペックは掲載されていないけれど,恐らく相当なスペックを持っているでしょう。


 イチロー選手のリクエストに応え,シーズンごとに進化を重ねていくスパイクを見ると,単純にフル・オーダーメイドのスパイクというのではなく,決して開発に手を抜けないレーシング・タイアのような印象を持ちます。そんな,レーシング・タイア,あるいはレーシング・マシンであるかのような印象を与えるスパイクを作れるスペシャリストが,シンジ選手の足元を支える。複数年契約ということがスポニチさんには書かれていますが,どんな進化をしていくのか,結構楽しみであります。