2007ゼロックススーパーカップ。

すべての要素がネガティブに振れた。そんな感じがします。


 とは言え,ゲーム立ち上がりから23分前後までの流れは,決して悪いものではなかった,とも感じます。ごく大ざっぱに言えば,あまり戦術的なパッケージを崩さない段階での展開には,イメージのブレはそれほど感じられなかったのです。


 しかしながら,アタッキング・サードへどういう形でボールを持ち込むか,あるいはフィニッシュへのイメージを描くか,という部分で“プロトタイプ”という言葉さえ持ち出せないような状態だったな,と同時に思います。そのために,中途半端に前掛かりになったタイミングでボールを失い,相手のシンプルな組み立てに守備ブロックが大きく揺さぶられる,という最悪の展開にはまり込んだように見えます。


 前半のG大阪を見る限り,「シンプルに攻め下ろす」という意識を徹底していたように思います。


 本来ならば,ミッドフィールドでリズムを構築しながら攻撃を組み立てる,というスタイルを貫いていく,という印象があるのですが,この日は中盤をある程度省略し,守備ブロックを大きくアウトサイドへと引きずり出すことを意識していたように見えます。2006シーズンにはそれほど見られなかった,“カウンター・アタック”を現実的な戦術として意識していた。それだけ,この日のゲームにフォーカシングしていたということではないか,と。


 後半になると,攻め下ろすという形になります。


 パスがイメージよりも遠くに飛んでいく形になるのだけれど,パスを繰り出す側も,パスを風に合わせる形での微調整に苦労しているような印象があったし,レシーバーもスペースへと走り込むと言うよりは,足元を要求する時間帯が多いために,ボールを失ってしまうことがあまりにも多かった。それ以上に,前半で崩れたリズムを組み立て直す,という意識があまり感じられず,完全に相手のリズムに乗せられる,あるいは相手のモチベーションを真正面から受け止めるは良いけれど,そのモチベーションを跳ね返すまでのパワーを感じられなかった。


 浦和の基本的なスタイル,その中核となるのは中盤での流動性であるはずなのですが,この日の中盤は,いささか硬直してしまっていたように思います。ディフェンシブ・ハーフが守備的な意識をかなり強く持ってしまったためか,あまりにも流動性が低かった。また,G大阪のSBが主導権を早い時間帯で掌握してしまった,という部分も当然あるけれど,ボールを大きく展開させるという意識よりも,ひとつのサイドにこだわって攻撃を展開するという形によってもう一方のサイドがチームから孤立するような形になっている。


 これでは,リズムを引き戻すのは難しい。


 ・・・コンディショニング,戦術的なイメージの徹底など,やるべきことは確かに多いな,とは思います。最悪のケースを想定すれば,リーグ戦を戦いながら戦術的な熟成を図っていくことにもなりかねない。ただ,戦術的な変更によって相当なスロー・スタートを余儀なくされた2005シーズンでも,自律的な修正を図ってきた。それだけのポテンシャルは持っているはず。暗雲が漂った,などと言われるならば,その雲を払いのけるだけの風を起こせばいい。ちょうど,ゲームのあった国立霞ヶ丘に吹き付けたような。