日本代表候補TC参加メンバーについて。

この時期,というのは正直なところ心中複雑ですね。


 ディフェンスの連携面に関してはこのトレーニング・キャンプ(TC)でベースを構築し,その基盤をもとに浦和としてのエッセンスを織り込んでいく,なんてアプローチでも採用しない限り,チーム戦術の熟成に向けたタイム・スケジュールは厳しくなる一方でありますな。
 2006シーズンの終了が1月1日。リフレッシュに振り向けられる時間は短いし,だからと言って,シーズンを戦い抜けるだけの体力的な基盤を作らなくていいということもない。当然,このために振り向ける時間も必要です。ですが,2006スペックからの戦術的な進化がなければ,フィジカルを含めたひとりひとりのコンディションにチーム成績が左右されやすくなることを意味しますから,戦術的な確認・熟成作業は必須。ではあるけれど,シーズン・インに向けた時間は少ない(ように少なくとも感じられる)。しかも,ブルズ・カップでなかなかの刺激を受けている。チーム戦術を徹底して「鍛造」するには絶好のタイミングなのだけれど,中核が抜かれることはあまりに痛い。


 ・・・なんてことをホルガーさんも思っているのではないかな,と。


 こういうことも含めて,2007シーズンは「過酷」であります。となると,中澤が復帰 大学生の林、藤本ら6人を初選出=サッカー日本代表候補(スポーツナビ)という記事を読んでいても,どうしても代表よりも浦和目線になってしまうところです。


 とは言いながら。浦和目線を外せば,相変わらず興味深い人選をイビツァさんはしてきますですね。


 GKで言えば,(都築選手を呼べなかったからかも知れないけれど)関東大学リーグでも安定した印象を持っている流通経済大学の林選手や,今季は川崎での活躍が期待される川島選手を呼んでいる。彼ら以外の初選出選手にしても,チーム・コンディションやひとりひとりのパフォーマンス,秘めているに違いないポテンシャルを思えば,TCに呼んでおきたい選手だと思います。


 うれしいサプライズとしては,まずは中澤選手でしょうか。


 フットボール・フリークとして言えば,2006ワールドカップで代表選手としてのチャプターを閉じてしまうのはあまりに惜しい。と言いますか,ドイツのピッチに置き忘れたものだったり,ピッチからつかみ損ねたものがあるはずです。「達成感」なしに,ユニフォームをしまい込む必要などない。「何モノか」を取り戻す,再びつかみ取るためのチャレンジをしてほしいと思っていただけに,今回の発表を受けてのコメントには,アウトサイダーではあるけれどうれしさを感じてもいます。


 そして当然,相馬選手も。


 相馬選手の縦への鋭さは,確かに相当な武器になるな,と。ただ,その鋭さを最大限に引き出すためには,周囲が積極的に相馬選手を生かし,同時に相馬選手が周囲に生かされるということを徹底して意識していかないと,強烈な威力を発揮するはずの武器もその威力を大幅に減退させてしまう。「代表」という舞台で,相馬選手が持っている“カッティヴェリア”を存分に表現し,生かし方であり生かされ方を具体的にイメージさせるくらいになれば,このTCは成功でしょう。


 ・・・でも,やっぱり2007スペックの浦和,その中核を構成する選手が6人までも引っこ抜かれるのは困った事態ですね。いっそのこと,浦和とのTMを組んでくれればいいのですが。