結果よりも方向性。

この時点で妙にピーキングされるくらいならば,「課題噴出」という方がよほど良い。


 加えて言うならば,ホルガー・オジェックが指向するフットボール,その方向性を実戦という舞台で具体的にイメージできたならば,一定程度の収穫はあったと見るべきではないか。2007スペックの浦和が具体的に構築されていない段階で,“インターナショナル・フレンドリー”に結果を求める必要は必ずしもない。
 とは言え,“大幅な戦術的変更を加えない”とは言え,オジェックが指向するフットボールと,ブッフバルト前監督が構築してきた2006スペックとは微妙にスタイルが変わっていくことは間違いない。であるならば,戦術的な変更がチームに落とし込まれ,ピクチャーが共有されるまでの時間が必要となる。2次合宿において,どれだけ戦術的なイメージをすり合わせ,理解を深めていくことができるか,が立ち上がりを左右するのではないか。


 ・・・ブルズ・カップであります。と言いますか,ひさびさの浦和関連のエントリであります。


 ファイナル・スコアを見れば,イロイロと思うところが出てきそうな感じもありますが。


 チーム始動からそれほど時間が経過しているわけでもないですし,現段階では過酷さを増すことがハッキリしている2007シーズンを乗り切るための基盤を構築している段階とも見えます。悲観も楽観も,するには時期尚早であるように思えます。
 とは思うのだけれど,戦術面を含めて“2007スペック”の浦和を構築するには「時間」との戦いになってくるな,とも感じます。序盤戦で鋭くスタート・ダッシュを仕掛けようとするならば,なおさらに。


 スタイルに変更を与えた時の浦和は,“スロースターター”になりやすい。


 ハーフコート・カウンターを意識したプレッシング・フットボールから,前線のタレントを考慮する形でリトリート的なフットボールへと変更を図った2005シーズンには,やはりチームとしての戦い方が浸透するまでに時間がかかってしまっています。このタイムラグをできる限り短いモノにしたいのですが,2次合宿と代表チームの合宿とが見事にバッティングしてしまう。
 ブルズ・カップにおける失点数はどうしても気になる要素ですが,このことは“守備ブロックのコンディショニング”という問題だけではなく,チームとしての組織的なプレッシャーがレッドブル・ザルツブルクバイエルン・ミュンヘンに対して有効に機能していなかったから,という見方もできます。こういう部分からも,2007スペックの方向性は案外,見出していけるかも知れません。


 恐らく2007シーズンにおいて,最もチーム・コンディションが悪い状況での実戦ですから(と言いますか,これより悪い状況に立ち至ってもらっては困るわけですけど。),この段階で見えた課題は戦術的な熟成を図るにあたって,かなりの参考になるはずです。
 当然,ひとりひとりのプレイヤーにとっても,相当な刺激になったはずですが,チームとしてもどういう組織戦術を組み上げていくべきか,などの方向性を確認したり,あらためて組み直す良いきっかけとなったのではないでしょうか。


 海外遠征を通じて,チームが進化の可能性をつかむ。2004シーズンにもチーム・スタイルを決定付けるきっかけがありましたが,今回もブルズ・カップを通じて,2007スペックを方向付けるきっかけがつかめたのであれば,浦和にとっても意味ある実戦経験になるのではないか。そんな感じがします。