エンドと風とアップセット(ラグビー日本選手権)。

アップセット,という言葉が持っているだろう意味を裏返せば,


 「順当に勝つことこそ,当然のこと。」


ということにもなるのではないでしょうか。それは恐らく,ゲームの立ち上がり,プレッシャーになって襲い掛かるに違いありません。相手は,徹底的にぶつかっていくだけ,という意識で向かってくる。その意識を上回るだけの入り方ができなければ,リズムを奪われる。


 ラグビー日本選手権であります。


 細かいことは追って書いていこうと思っておりますが,ごく大ざっぱに印象を書くならば,「風」も相当なファクタになっていたな,と。
 秩父宮では,基本的に神宮球場方面から青山通り方向(あるいは伊藤忠方向と言いますか。)へと風が吹き抜けていました。グラウンド・レベルを観察すると,インゴール・エリアや22mライン付近,そしてハーフウェイ・ライン付近での風の流れ方が違い,結構風が舞っていたのですが,風上に立つエンドと,風下に立つエンドが比較的ハッキリしていたわけです。


 第1ゲーム,トップ・チャレンジシリーズ首位であるキューデン・ヴォルテクスは風下のエンドでした。対して第2ゲームでの関東学院大学は,風上のエンドを取り,積極的に攻め下ろしていった。

 当然,対戦相手であるトップリーグ勢に対して実力的に格下と見えるこの2チームは,立ち上がりの早い時間帯から積極的に勝負を仕掛けていかなければ,勝機を見出すことなどできないでしょう。その意味で,ヴォルテクスにとっては風下を選択することになってしまったのは,少なからぬ誤算だったに違いないし,関東学院にとっては,リズムを掌握するためには絶好の条件だったと思います。
 ヴォルテクスにあっては,立ち上がりの段階から恐らく組み立てていたであろうゲーム・プランは大きく修正を余儀なくされただろうし,関東学院にしてみれば,前半終了直前の失点は想像以上のダメージがあったと思う。エンドが変わった後半,トップリーグ勢であっても戦い方が大きく変わったところを見ても,相当「風」の影響を受けていたのだろうことが受け取れます。
 加えて言えば,今季におけるトップリーグ勢,特にサンゴリアスブレイブルーパスの後塵を拝さざるを得なかったヴェルブリッツジュビロのモチベーションは高く維持されている,ということになるのでしょう。


 ファイナル・スコアや,プレーの流れに関してここで細かく書くのはやめておきますが(サンデー・スポーツも終わってませんし。),ゲームを決定付ける要素はやっぱりディテールにあったりする。そんな部分を感じる2回戦でありました。