06〜07(第44回)ラグビー日本選手権(組み合わせ確定版)。

考えてみれば,ごく当然ではあるのですが。


 比較的,チームの持っている潜在能力であったり,実力が結果に反映されやすい競技ですから,選手権の優勝候補はトップリーグ勢ではないか。
 となると,プレーオフ・トーナメントであるマイクロソフトカップ,その準決勝(と言いますか,1回戦)と同じ対戦カードが実現してしまうような事態は回避したい。であれば,落ち着くところはほぼ限られるわけです。極端なことを言えば,サンゴリアスブレイブルーパスの位置関係が決まれば,自動的にすべてが決まる。そんな感じもするにはします。


 ただ,個人的なことを言ってしまえば,選手権の帰趨よりは2回戦の対戦カードがどのようなものになるのか,という部分がより興味深いものでありました。ということで,今回はJRFUさんからリリースされた組み合わせ・結果表(JRFUオフィシャル)をもとに,ちょっと短めに書いていこうかな,と。


 1回戦でタマリバを退けた関東学院は,2回戦でヤマハ発動機ジュビロ(レギュラー・シーズン3位)との対戦であります。そして,このカードの勝者が,トップリーグ・チャンピオンの東芝ブレイブルーパスと対戦することになります。


 ・・・大学ラグビーにバイアスをかけたいラグビー・フリークとしては,困った相手だ,というのが正直な印象です。


 関東学院としては,恐らくロー・スコアに持ち込みたい,という意識があるはずですが,ジュビロにとってこのようなゲーム・プランは「思うツボ」ではないか,と思うのです。トップリーグ勢でも,屈指のディフェンス力を持ち,レギュラー・シーズンではブレイブルーパスサンゴリアスを退けてもいる。関東学院にしてみれば,リズムの作り方が相当難しいだろうと。
 ただ,ジュビロが「受けて立って」くれるならば,十分以上に勝機はあるはずです。そういう状況に立ち上がりから追い込んでいけるのか。関東学院は,大学選手権だったりリーグ戦以上に鋭く,激しい立ち上がりを見せる必要があるように思います。


 もうひとつの1回戦勝者・九州電力キュウデン・ヴォルテクストヨタ自動車ヴェルブリッツ(レギュラー・シーズン4位)と当たることになりました。そして,このゲームを制すると,サントリー・サンゴリアスマイクロソフトカップ準優勝)との対戦が待っています。
 恐らく,ひとりひとりの選手が持っている能力であったり潜在能力を考えれば,ブレイブルーパスサンゴリアスに並ぶ(あるいは凌駕する部分もある)クラブではないか,と思っています(2006〜07シーズンでは上位には勝てなかったのだが)。実際,マイクロソフトカップ1回戦では,ブレイブルーパス相手にしぶとい戦いを見せていましたし,なかなかヴォルテクスとしては厄介な相手ではないでしょうか。


 とは言え,ヴォルテクスにしてみればTL勢に対してどれだけやれるのか,逆に明確に不足している部分はどこなのか,をシビアな実戦を通じて見極める,貴重なチャンスという見方もあります。「勝負」ですから,徹底して勝ちにこだわった姿勢を見せてほしいと思う反面で,積極的にヴェルブリッツに対して仕掛けていってほしい,とも思うのです。


 極力ニュートラルに眺めれば,この2チームとも,アップセットの可能性はそれほど高くない。ただ,100%アップセットがあり得ない,ということもあり得ない。どれだけいい準備を重ね,相手をスカウティングするなかから“チームが戦術的に持っているクラック”を的確に突いていけるか。そして,自分たちの「普段着のラグビー」を80分プラス押し切れるかどうか。


 昨季の再現,ちょっと期待してしまうところもあるのです。