トゥルシエと言うか、オシムと言うか。

・・・誰あろう,オジェックさんの話ではあるのですが。


 難しいところではありますが,少なくともモダン・フットボールを構成する重要な要素であることは間違いないでしょうね。
 恐らく,そのきっかけになったのは“トータル・フットボール”であり,トータル・フットボールのエッセンスを巧みに守備戦術へと落とし込んだ“ゾーン・プレス”でしょう。このゾーン・プレス,徹底的にリアリスティックな方向性へと振ればモウリーニョさんが率いているチェルシー的な解釈へと至るし,攻撃面への応用を強く意識していけばバルサのスタイルへと近づいていく。


 当然,「ゲームのリズムをどうコントロールするのか」という部分が落ちてしまっては,どんなに基礎的な走力を引き上げようとも追いつかないでしょうし,戦術的な熟成がなければ,スペクタクル性を持ったフットボールであるにせよ,リアリスティックなフットボールであるにせよ,「機能美」を強く感じさせるフットボールにはならない。
 2006スペックの浦和は,リアリスティックな側面が比較的強く感じられ,戦術的な部分によって機能主義的な美しさを感じる,というところまでは至りませんでした。2007スペックをつくるにあたり,オジェックさんはまず「戦術的な機能美」を獲得するための前提条件を整備するつもりかな?と感じます。


 ということで,共同さん配信の速報記事(サンスポ)をもとに。


 2007シーズンの浦和は,チーム体制を絞り込み,少数精鋭の体制へと移行しました。ですが,現段階で確実となっているスケジュールを見ても,相当過酷なものです。のみならず,ヤマザキナビスコカップの奪還,そして天皇杯の防衛を現実的な射程に収めるつもりならば,さらに日程的な問題は過酷さを増します。
 となれば,ファースト・チームとリザーブ・チームという明確な区分よりも,すべてのトップ登録の選手が完全な戦力として計算できることを求めているのではないでしょうか。


 2006シーズンが2007年1月1日まであった,ということで,オフ・シーズンが短かったのは間違いないところです。それだけに,フィジカル重視のトレーニング・メニューでは負荷が強すぎるケースも出てくるに違いない。恐らく,オジェックさんとしてはこの状況は半ば織り込んでいて,むしろ若手のポテンシャル・アップを現段階での重点課題として意識しているのではないか。


 今季は,昨季以上に文字通りの「総力戦」を挑んでいかなければならないシーズンになる。そのためには,ひとりひとりの選手が持っているパフォーマンスやポテンシャルをシッカリとバインドさせるために,戦術的なピクチャーを明確なものとする必要があるし,誰がピッチに立とうとも「浦和」としてのフットボールを存分に表現しうるだけの個,組織としての裏付けが必要となってきます。その要求水準は恐らく,かなりの高みに達するはずです。
 いまのトレーニング・メニューは,どれだけオジェックさんがいまのチームが持っているポテンシャルを評価し,どういうフットボールが表現できるか楽しみにしている,その裏返しのようにも思えるのです。