最終節を前に。
・・・とは書いてみたものの,「最終節」という言葉よりも「予選最終日」のような感じが強いような。
2005〜06シーズンまでならば,最終節によって最終順位が確定するわけですから,秩父宮で行われるブレイブルーパス−ワイルドナイツ戦は,間違いなくブレイブルーパスを中心に意識されるはずです。つまり,この試合の結果によっては2位につけているサンゴリアスが最終節で逆転優勝を飾る可能性もあるわけですから,ブレイブルーパスの戦いぶりは注目を集めることになる。リーグ戦最終節というのは,そんな緊張感がひとつの楽しみだったりするはずです。
ですが,2006〜07シーズンから,リーグ戦によって最終順位が確定するわけではなく,プレーオフ・トーナメントであるマイクロソフト・カップによって優勝チームが確定するというスタイルに移行しています。
で,このトーナメントですが,リーグ戦4位のクラブまでが出場権を与えられるのであります。となると,最終節における楽しみの方向性が,通常のリーグ戦とは違って下方修正されてしまうことになります。
リーグ・テーブル(トップリーグ・オフィシャル)を見ると,12節終了時点でプレーオフ進出の可能性を残しているクラブは,6位につけているスティーラーズまでということになる。ラグビー・フットボールでの勝ち点計算はちょっと独特で,勝ち点は通常4。そして,ゲームにおいて4トライ以上を奪取した場合にはボーナスポイントが加算され,勝ち点5を獲得することができる。この勝ち点制度が,最終節でのアヤになる可能性がある,というわけです。
となると,秩父宮で開催される2ゲーム,特に第1試合であるグリーンロケッツ−ヴェルブリッツ戦,そして神戸ウィングでのスティーラーズ−ジュビロ戦はプレーオフ出場権をかけた直接対決として,注目を集めるはずです。実際,ここまで他力の要素と自力の要素が複雑に絡み合う最終節というのは珍しいでしょう。2005シーズンのJリーグ最終節も,こんな感じでしたね。ですから,ラグビー・フリークとしては面白いゲームが見られるな,と感じます。となれば,リーグ最終節まで面白いゲームをつくり,多くのクラブが優勝の可能性を残すわけですから,プレーオフ・トーナメントにも意味がある,と言っていいのかも知れません。
ですけれど。
リーグ戦という意味合いを考えると,やはりどこか不自然な印象がつきまとうのも確かです。素直に楽しめないと言いますか。
ここでは結構書いていますが,ラグビー・フットボールであっても“ホームタウン”を強く意識すべきだろうと思っています。いまの状況は,単に「練習場があるところ」という程度の意識しかないクラブの方が過半数でしょう。また,リーグ戦というのはクラブが持っている総合力を厳しく問うもののはずです。攻撃面や守備面といったフィールドで表現されるものに限らず,選手に対するメンタル・マネージメントや選手層の維持なども含めて。
でも,いまのリーグ戦はプレーオフ・トーナメントへの予選的な感じが強く,しかもリーグ戦でありながら瞬発力であり加速力が強く求められてしまう。
本来,リーグ戦は長期だからこそ意味がある。ならば,できるだけ早い段階で2回戦総当たり制のリーグ戦へ移行するべきではないでしょうか。
マイクロソフトさんがラグビーに対して力を入れてくれていることはありがたい限りです。ならば,“マイクロソフト・カップ”にもっと権威と重みを与えてやってほしい。理想論であることは承知していますが,イングランドにおけるプレミアシップ(ラグビー・フットボール版)のように,長いシーズンを戦い抜いたその先に,リーグ・チャンピオンが決定するというスタイルになれば,もっとチャンピオンとしての重みが増すように思えるのです。